第百十三話 本格的な秋その一
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第百十三話 本格的な秋
九月も十五日を迎えようとしていた、シルバーウォークと呼ばれるその連休を前にして母は咲に家の中で尋ねた。
「あんた連休の間どうするの?」
「どうするのって部活にアルバイトにね」
咲は母にすぐに答えた。
「お姉ちゃんと遊びに行って」
「過ごすのね」
「そのつもりよ」
「普段とあまり変わらないわね」
「土日とね」
普段のとだ、咲も否定しなかった。
「変わらないわね」
「そうよね」
「それでいいわ」
別にとだ、咲はこうも言った。
「旅行に行く訳でもないしね」
「まあそれ言ったらお母さんもね」
「お父さんもでしょ」
「お父さんお仕事よ」
連休の間はというのだ。
「ガソリンスタンドはむしろね」
「休日こそ忙しいわね」
「外に出る人多いからね」
自動車を使ってというのだ。
「だからね」
「それでよね」
「忙しいのよ」
「連休こそね」
「だからね」
「うちは普段通りね」
「連休でもね」
その間もというのだ。
「そうよ」
「そうよね、それで私もね」
「部活とアルバイトになのね」
「頑張って来るわ、お姉ちゃんとも遊びに行くし」
愛とのことも話した。
「そうしてくるわ」
「学校のお友達とは何処にも行かないのね」
「連休の間はね」
その時はというのだ。
「特にね」
「行かないのね」
「部活で会うし」
友達とはというのだ。
「あと学校でもね」
「部活に行った時に合うわね」
「だからね」
それでというのだ。
「お友達とはね」
「連休の間は遊ばないのね」
「お姉ちゃんと遊びに行く約束が入ってたから」
「それでなのね」
「もう最初からね」
「お友達と遊ぶ約束はしなかったのね」
「そうなの、連休の間毎日アルバイトもするし」
このこともあってというのだ。
「そうするわ、皆と遊ぶのはね」
「お友達とね」
「多分次の連休よ」
「秋分の日ね」
「その時にね」
「遊ぶつもりなのね」
「丁度いいお店紹介してもらったし」
咲は笑ってこうも話した。
「店長さんからね」
「どんなお店なの?」
「渋谷にある喫茶店なの」
「あら。喫茶店なの」
「そうなの、昭和の感じのお店でね」
咲はその店のことを笑ったまま話した。
「コーヒー美味しいし学生割引もあるし」
「そうしたお店あるの」
「それでね」
秋分の時はというのだ。
「紹介するわ」
「そうなのね、ただ咲も喫茶店に行く様になったのね」
母は娘からその話を聞いて笑顔で言った。
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