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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第167話:策中模索
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カノイズを仕留められたと思ったが、次の瞬間には分裂し再生した個体が立ち塞がった。
「くっ……やはり、更なる分裂ッ!」
首を減らし大きさも小さくなりながら尚も悠然と浮かぶ新型を前に翼は苦虫を噛み潰したような顔になる。
クリスはクリスで、得意の遠距離への射程の長さを活かして逃げる新型を見事に仕留めていた。爆炎と赤い塵に敵の姿が消えた瞬間、彼女は息を整えようと束の間警戒を解いた。解いてしまった。
それは非常に危険な隙であった。他の者達であれば、戦いの最中に呼吸を整える為とは言え警戒を解くような事はしない。
彼女はこの状況に慣れ切ってしまっていたのだ。そう、常に自分が守られていると言う状況に。
その代償を彼女は見思って味わう事になる。
「うわっ!?」
爆炎を突き破るようにして伸びてきた尾の一撃に、彼女は吹き飛ばされ地面に叩き付けられる。完全に不意を突かれる形で放たれた一撃に、彼女は反応しきる事が出来なかった。
「かはっ!? うぅ……!?」
叩き付けられた際に切れたのか、口の中に血の味を感じる。それを唾と共に吐き出しながら、クリスは己の迂闊さを嘆いた。
――何やってんだアタシはッ! 今は、透が居ねえってのに……!――
自分から距離を取った、距離を取らさせた少年の顔を束の間思い浮かべつつ、クリスは立ち上がり再生した新型アルカノイズを睨み付ける。
険しい表情でクリスが睨み付ける先では、大型アルカノイズと奴が落としたアルカノイズ達が群れを成して迫ってきていた。
3人の装者達が、それぞれの場所で消耗と苦戦を強いられている中、颯人は1人善戦していた。
「どんだけ再生するっつっても、塵も残さず焼き尽くせばどうしようもねえだろッ!」
〈〈〈〈チョーイイネ! スペシャル、サイコー!〉〉〉〉
追跡の途中でフレイムドラゴンにスタイルチェンジした颯人は、さらにコピーで自分を増やし大型アルカノイズを配下のアルカノイズ共々四方から包囲。スペシャルの魔法のブレスで再生も間に合わないレベルで焼き尽くした。
颯人が意外と早くに大型アルカノイズを攻略する様子を、上空の空中戦艦からサンジェルマン達が眺めていた。
「あ〜らら? あの坊や、案外早くに終わらせちゃったわ」
「頭の回転は早いワケダ。こうなると作戦が狂うワケダが……」
彼女らの予定では、装者達を消耗させイグナイトモジュールを使わせ、それをファウストローブで無力化する事でシンフォギアを打倒する筈だった。だがここで予定外な事に、颯人が思いの外早くに新型を完全に倒してしまった。
こうなると面倒だ。彼が参戦しては、装者が消耗しきる前に全ての新型が倒されてしまう。どうにかしなければ。
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