"just the beginning"
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ウィザードは二度、指輪と可奈美を交互に見やる。
全く分からないこの指輪。だが、今はそれが何よりも一番の魔法だと感じられた。
『チョーイイネ スペシャル サイコー』
魔法陣が体を通過し、その効力をウィザードの体に表していく。
フレイムドラゴンへの変身と同じように、ウィザードの体からドラゴンの幻影が飛び出し、その体に再び取り込まれる。
胸に宿るドラゴン。この声で目醒めたのは、ドラゴンの頭。胸から現れたドラゴンの頭部は、ウィザードの意思とは独立して吠える。
ウィザードは、足をステップさせる。すると魔力の作用によって、ウィザードの体は音もなく浮かび上がる。
「だあああああああああっ!」
ウィザードの胸から生える龍の顔から、炎が吐き出される。
それは、これまでのウィザードが持ち合わせていたあらゆる魔法よりも強力な炎。抵抗しようとしてきたアマダムを焼き尽くす。
「ぎゃああああああああああっ!」
炎の奔流。
それは、アマダムの体を焼き付くし、次々と焼き消していく。体を徐々に灰化させ、やがて爆発させていった。
アマダムの体が炎に包まれていく。それを見届けたウィザードは、静かに着地した。
「はあ……はあ……」
ウィザードの体を赤い魔法陣が通過し、松菜ハルトの姿に戻る。
膝を抱えながら、ハルトはアマダムがいた場所を見つめていた。
「やった……のか?」
すでに、その姿がないアマダム。
残り火だけが、焦げ跡に火を灯していた。
「ハルトさん!」
その声は、可奈美。
ハルトの体を押し倒し、抱き着いてきた彼女は、顔を胸に埋めてきた。
「よかった! よかったよお!」
「か、可奈美ちゃん……」
「う、うん。よかった。よかったから離れて。なんか、色んなものが付いちゃうから」
「だって……!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、可奈美は顔を上げた。
「ハルトさんが、私の知ってるハルトさんで……!」
「うん。そうだね」
ハルトは可奈美の頭を撫でて、一度引き離す。息を整えながら、アマダムがいなくなった。
「仮面ライダー……か」
ハルトはその言葉を再び口にする。
もとより仮面ライダーを名乗る真司と士に向き直るハルトは、赤い眼から戻すことなく続けた。
「いいよ。やるよ。仮面ライダー。皆の希望を守るために」
「ハルト……! ああ! お前も今日から仮面ライダーだ!」
真司は自らの拳を叩き、ハルトの肩を叩いた。
「ああ。改めて……これからもよろしくね、真司!」
「っしゃあ! 仮面ライダー同士、力を合わせよう!」
大喜びの表情の真司。彼と
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