第一章
[2]次話
歳を取っても腐女子
三村良子は今年還暦になる、夫の彦次郎と共に共働きだったが遂に定年となりシルバーワークに入ったばかりだ。
その良子には一つの趣味があった、その趣味は。
「いやあ、夫婦生活もいいけれど」
「そうした漫画や小説もか」
「いいのよね」
長方形で鋭い目と眉を持ち引き締まった口元が印章的で白髪頭を短くしている一七七ある夫に対して答えた、良子も髪の毛は白いものが多くなっていて後ろで団子にしている。細い眼鏡の下に鋭い感じの目があり高い鼻と小さな赤い唇を持っている。目尻の皺は少なくシミもなく色白だ。一五八位の背で均整の取れたスタイルである。
「こういうのが」
「同性愛ものか」
「ボーイズラフね」
「俺はそんな趣味ないからわからないんだがな」
夫はこう返した、
「けれど結婚してからな」
「男はあなた一筋でね」
そうした同人誌を手に言うのだった。
「こうしたのを読む趣味もよ」
「あるんだな」
「別に浮気しないからいいでしょ」
「ああ、しかしな」
それでもとだ、夫は妻に首を傾げさせつつ言った。
「そんなにいいのか」
「いいわよ、十代の頃にやおいを知って」
所謂同性愛の作品をというのだ。
「その頃からよ」
「読んでるんだな」
「市販の漫画や小説にね」
「今同人誌読んでるな」
「そうしてね」
今も読みつつ言うのだった。
「楽しんでるのよ」
「何かゴッドマーズからか」
「そう、十代の頃あの作品の同人誌読んで」
「聖闘士星矢にトルーパーにシュラトにか」
「同人誌はそうでね、今も楽しんでるわ」
今人気のアニメのそうした同人誌を開いている、そのうえでの返事だ。
「こうしてね」
「ずっとその趣味あるな」
「永遠の趣味よ」
こう言って同人誌を目を血走らして読んでだった。
自分のサイトで同性愛について語るのだった、それは日本の歴史からはじまるものでオフ会でも同じ様な年齢の同志達に語るのだった。
「ザビエルさんは間違ってたわよね」
「ええ、同性愛を否定してね」
「悪徳とか言うなんて」
「間違ってるわ」
「それでお殿様を糾弾するなんて」
面と向かってそうしたという、その相手は大内義隆だった。
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