第一章
[2]次話
犬の気持ちをわかるには
ふわりを朝の散歩に連れて行ってだった。
彼女の家族である国咲家の息子の洋介はその間ずっと彼女を見ていた、ふわりは見るからに楽しそうでどんどん歩いていた。
それで散歩を終えると家に上がってご飯を沢山食べるが。
その彼女を見てだ、彼は母の百合子に言った。
「今日も機嫌いいな、ふわり」
「そうよね、目をキラキラさせてね」
「尻尾だって振ってな」
「何よりよね」
「けれどな」
洋介はそんなふわりを見ながら母にこうも言った。
「犬って鳴くけれどな」
「喋らないっていうのね」
「そうだからな」
「何を言ってるかはね」
「わからないよな」
「それでよ」
母は息子に眉を顰めさせて話した。
「前の飼い主のね」
「あの連中はか」
洋介も眉を顰めさせて応えた。
「一日中吠えて五月蠅いってか」
「性格変わったとか言ってね」
「保健所に捨てたんだな」
「飽きたおもちゃそのものでね」
「あの連中はあれだろ」
こう母に言ったのだった。
「ふわりの気持ちなんてな」
「わかろうともしてなかったわ」
「そうだよな」
「吠えてたんじゃないのよ」
あの時のふわりはというのだ。
「自分はここにいるってね」
「言ってたんだな」
「一日中ケージに入れられて無視されたら」
そうなればというのだ。
「お散歩に連れて行ってもらえなくてご飯は貰っても」
「見向きもされないとな」
「人間だってここにいるって言うでしょ」
「俺だってそうするよ」
「ふわりはそうしていたのよ。それで家族思いの娘だから」
それでというのだ。
「赤ちゃんが泣いたら」
「教えてたんだな」
「そうだったのよ、見ればね」
ふわりをというのだ。
「それでよ」
「わかったんだな」
「そうだったのよ」
こう言うのだった。
「よくね」
「そうだよな」
「犬は確かに喋られないから」
人間の言葉をというのだ。
「意志の疎通はね」
「言葉では出来ないよな」
「けれどその鳴き方と」
それと、というのだ。
「表情や尻尾の動きを見ればね」
「気持ちがわかるよな」
「そうよ」
そうだというのだ。
「よくね」
「見ればな」
「だから私達はね」
「ふわりの鳴き方にな」
「表情や尻尾の動きを見て」
「気持ちを理解するんだな」
「そうよ」
そうしようというのだ。
「そしてね」
「ふわりの面倒もな」
「見るのよ」
「そうだよな」
息子もその言葉に頷いた。
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