第八十四部第四章 続く会談その四十五
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「無血革命を果たしても怨念に基づくものだとね」
「嫌なものがありますか」
「どうしても」
「そうなってしまいますか」
「それが世の中よ、怨念が生み出すものはマイナスのものでしかないわ」
伊東は看破した様に言い切った。
「プラスになることはないわ」
「言われてみますと」
「確かにそうですね」
「怨念から努力をはじめましても」
「それでもいいことはないですね」
「どうしても」
「そうよ、努力は確かに重要なものだけれど」
それでもというのだ。
「それが怨念に基づくものだと」
「どうしてもですね」
「マイナルのものしか生み出さない」
「そうなってしまいますね」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「彼もね」
「いいものとはならない」
「無血革命を果たされても」
「そうなりますか」
「私はそう見るわ」
伊東はその見立てを話した。
「結末はね」
「いいものにならない」
「左様ですか」
「ジャバル副主席の革命は」
「よい結末とはならないですか」
「ええ、ただね」
それでもとだ、伊東はこうも言った。
「革命が失敗してもね」
「それでもですか」
「何かありますか」
「その革命が失敗しても」
「残るものは残るわ」
そうなるというのだ。
「プラスのものがね」
「マウリアに残る」
「そうなりますか」
「革命は失敗しても」
「革命の遺産は残りますか」
「彼は確かに怨念があるけれど」
それでもというのだ。
「決して私利私欲の人ではないわ」
「だからですか」
「それで、ですか」
「怨念があろうとも」
「プラスの遺産は残りますか」
「そうなるわ、それでもマウリアの為に動くことは確かだから」
例えアウトカースト層の革命を念頭に置いてそうしてそれによって怨念を持っている様な人物でもというのだ。
「だからね」
「それ故にですか」
「よい政治を行っていることは確かで」
「マウリアにその遺産は残る」
「そしてマウリアを発展させますか」
「アウトカースト層もね」
その彼等もというのだ。
「少なくとも現状よりはね」
「いい暮らしを送れる様になり」
「社会的地位も向上する」
「そうなりますか」
「かなりよくなると思うわ」
例え革命が失敗に終わってもというのだ。
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