第七百十三話 ドクガエルその五
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「もうそれは科学ではない」
「科学的思考ではないですね」
「科学が常に進歩するもとだということを理解していないな」
「甚だ非科学的な思考ですね」
「そうだ」
上等兵に対して言い切った。
「妖怪がいないと言ってもな」
「今の科学の見解ではそうですね」
「そうであるだけでな」
「実際はどうか」
「わからない、まだこの世にあるのは科学だけか」
大尉は上等兵に問うた。
「違うな」
「他にも様々な学問が存在しますね」
「科学を絶対として他の学問を否定することもな」
こうした考えもというのだ。
「愚の骨頂だ、この世に絶対の存在はなく」
「学問もですね」
「然りだ、現代の科学で語れるものは非常に限られている」
「それが現実ですね」
「私はそう考えている、そしてだ」
大尉はさらに話した。
「妖怪の存在を科学で否定しても」
「実際に存在しないとですね」
「断言出来ない、それが確かな科学的思考の筈だ」
「だから幽霊もですね」
「その存在を否定する軍人は少ない」
軍事技術は科学が用いられているものでそれに常に触れている軍人達であるがというのだ、大尉は軍人として話した。
「それも非常にな」
「軍隊に怪談話は付きものですし」
「実は日本の戦争には不思議なものがある」
大尉はまた自分達が今潜入している国のことを話した。
「日露戦争のことだが」
「二十世紀初頭の」
「そうだ、あの戦争は日本が勝ったが」
下馬評では日本の十倍もの国力を持つロシアが勝つと言われていたがだ。
「しかしな」
「あの戦争においてはですか」
「狐や狸が戦争に参加していたとだ」
「変化ですか」
「そうした話があるのだ」
「そうなのですか」
「他にもだ」
大尉は話を続けた。
「あるのだ」
「こうした話が」
「戦場に真っ白い軍服を着た部隊が出て来てだ」
そうしてというのだ。
「戦闘中の日本軍を助けたとな」
「そうだったのですか」
「そんな話もある」
「それで日本は勝ったのですね」
「そうした逸話もあるのだ」
「不思議ですね」
「そうした不思議なことが多くあってな」
大尉は真剣な顔で話していった。
「こうした話についてはな」
「非常に大きな証言になりますね」
「勿論事実かどうかはわからない」
こうも言った。
「伝説と言えばだ」
「それになりますね」
「それでだ」
「確かなことは言えないですか」
「しかしどうもな」
確かなことであるとは言えずともというのだ。
「こうした話が他の戦争でも実に多いからな」
「実際にですね」
「こうした話があることはな」
「紛れもない事実ですね」
「そのことは事実ですね」
「そうだ、尚私は肯定している」
幽霊や妖怪の存在をという
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