第七百十三話 ドクガエルその四
[8]前話 [2]次話
「特にです」
「人になったりな」
「行き交う人の中にいることはないです」
「人の傍にいてもな」
「そうしたことはありません」
「だが連合ではな」
この国ではというのだ。
「そうしたこともだ」
「あるのですね」
「そう考えている国だ、君は妖怪の存在を否定するか」
「見たことがあるので」
きっぱりとだ、上等兵は話した。
「それは幽霊でしたが」
「幽霊を見たのか」
「入ってすぐに」
この時にというのだ、上等兵は軍に入隊とは言わずまたその次の言葉でも敢えて隊舎とは言わずに話した。
「中で見ました」
「そうだったのか」
「はい、何でも数百年前に死んだ人の幽霊だったとか」
「よくある話だな」
「そうですね」
「我々の世界ではよくある」
軍隊ではというのだ。
「そうした話はな」
「左様ですね」
「付きものだ」
軍隊で幽霊の話が多いのはこの時代でも世界共通のことなのだ。
「まさに何処でもな」
「そうした話がありますね」
「そしてだな」
「私も見ました」
「そういうことか」
「はい、ですから」
「妖怪の話もか」
上等兵に問うた。
「幽霊を見ただけに」
「信じています」
「そうなのだな」
「心から」
大尉に答えた。
「人知ではです」
「まだ解明出来ない問題はある」
「それも多いですね」
「非常にな」
大尉も言った。
「この世にはな」
「左様ですね」
「妖怪はないと言い切ってもな」
それでもというのだ。
「その科学的な根拠はな」
「ないですね」
「科学もな」
この時代でも非常に大きな影響力を持っているこの技術もというのだ。
「万能でも絶対でもない」
「常に進歩していますし」
「常識なぞだ」
科学でそうだとされていることもというのだ。
「時として簡単に覆る」
「そうなるものですね」
「今の時点の科学で不可能だと言われてもな」
「有り得ないということでも」
「科学が進歩すればだ」
それでというのだ。
「可能になり有り得る」
「そうなりますね」
「存在しないと言われることでもな」
現代の科学でというのだ。
「あくまでそれはだ」
「その時の科学の知識や技術でのことで」
「絶対ではない」
「左様ですね」
「若し今の時点の科学が絶対と言うならな」
大尉は言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ