第三十二話 荒野の蛇その六
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「あのマスコットよりは」
「そやろ」
「幾ら実は狂暴でもな」
「カンガルーは可愛いからな」
「呪われてもないしな」
「ええな」
「ああ、袋から赤ちゃんがお顔出すのは」
これもまたカンガルーの特徴である、有袋類はその身体の袋の中で子供を育てかつ守るのだ。この世界のオーストラリアでも有袋類は多い。
「可愛いわ」
「それにちょっかい出したり縄張りに入らんとな」
「攻撃せえへんな」
「そや」
カンガルー達はというのだ。
「実はな」
「そこは安心してええな」
「鹿もやな」
「勿論や」
当然という返事だった。
「確かに傍若無人でや」
「やりたい放題でもやな」
「ちょっかいかけんとな」
そうしなければというのだ。
「別にな」
「何もせんな」
「弁当とかおやつ取ろうとしてもな」
それでもというのだ。
「ちょっかいかけんとな」
「仕返しもせんな」
「そや」
それはないというのだ。
「スルーや」
「ふんぞり返ってるだけで」
「それだけやな」
「確かに威張ってるが」
これは彼等が春日大社の神の使いとして大切に扱われているからだ、それも代々なので自然とそうした態度になっているのだ。
「何もせんでご飯あげてるとな」
「何もせんか」
「ああ、ただちょっかいかけるとな」
その時はといのだ。
「確実にな」
「仕返ししてくるな」
「そしてお腹空いていてもな」
この時もというのだ。
「お弁当とかおやつとか狙う」
「そやから要注意やな」
「栄養失調になってたって話もあるが」
奇妙なことにだ、あれだけ食べている彼等がだ。
「まあちょっとでもな」
「お腹空くとやな」
「鹿煎餅ねだって草食べてな」
「そして油断すれば」
「人の弁当やおやつを狙う」
そして奪うのだ。
「お肉や雑誌でさえ食べる」
「そんな連中やけどやな」
「基本何もせんとな」
あくまでそれならというのだ。
「何もや」
「手出しをせんな」
「そや」
まさにというのだ。
「安心してええ」
「そやねんな」
「あの連中もな」
中里は仲間達にそうした話をした、カンガルーの話を聞いて奈良の鹿達がどんな者達かをだ。そうした話もしつつだった。
数多く出て来る毒蛇達を倒し先に進んでだった。
虹蛇達のところに来た、するとユルルングルがむっとして言ってきた。
「我等とて人から食べものは奪わん」
「そうですよね、やっぱり」
「神霊であるからな」
中里に対して強い声で告げた。
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