第三十二話 荒野の蛇その五
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「もうや」
「出んでよかったな」
「それこそな」
中里は忌々し気に言った。
「ゲゲゲの主人公が見たらな」
「下駄放つか」
「それか毛針放つわ」
その様にしてくるというのだ。
「そんなレベルやろ」
「その通りやな」
メルヴィルも否定しなかった。
「マスコット、ゆるキャラどころか」
「妖怪やな」
「それも性質の悪いな」
「そやな」
「そんなん出て来てな」
奈良市への遷都一三〇〇年記念でだ、その姿を見た瞬間に奈良市民だけでなく奈良県民も絶望した。
「ほんまいらんっていうのがな」
「偽らざる気持ちやな」
「僕も傍目で見てな」
奈良県民でない、即ち当事者達でないのでだ。
「ないわってな」
「思ったな」
「ああ、キモ可愛いんやなくて」
「キモ可愛くないやな」
「どんな表情やポーズでもな」
それでもというのだ。
「何一つかわいくないどころか」
「気持ち悪い」
「呪われた公認ゆるキャラや」
「こっちの世界にはいなくてよかったな」
「ほんまな」
中里は心から思っていることを言った。
「あのキャラだけはな」
「こっちの世界でも最近ゆるキャラご当地キャラ出てるけど」
アレンカールも言って来た。
「連合全体で」
「それでもああしたキャラはおらんな」
「どのキャラも可愛くて」
それでというのだ。
「親しめるわね」
「そやな」
「あのキャラは可愛くもなくて親しめもしない」
「むしろ県民から嫌がられてるな」
「そんなキャラね」
「悪い意味で話題になって」
まさにその外見がだ、当然頭の角もおかしいと言われているがそれが細事になる程デザインの悪さが評判になっている。
「グッズも売れてるけどな」
「インパクトは凄いから」
「そやけどな」
「人気はないわね」
「全くな」
そうだというのだ。
「県民の間からは」
「そうよね」
「それでこっちの世界ではな」
十星連合の各地域でゆるキャラご当地キャラが出ているがというのだ、そのうえで定着もしている。
「おらんでよかった」
「ほんまそうね」
「あんな子供が見たら泣き出す様な外見でや」
「マスコットはないわね」
「ほんま採用して公認にし続けてる人のセンスを疑うわ」
「県民への嫌がらせね」
「ほんまな」
まさにというのだ。
「奈良の妖怪とまで言われてる」
「呪われたマスコットね」
「ほんまあれはないわ」
「カンガルーや鹿の方がましやな」
シェリルも言った。
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