第九十一話 夏休みも終わりになってきてその十
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「別にね」
「いらないの」
「これ位でね」
今の大きさでというのだ。
「いいわ」
「そうなのね」
「それよりも背よ」
一華が欲しいものはだ。
「本当にあと三センチでもいいから」
「欲しいのね」
「一六〇が理想でも」
それだけの高さがというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「せめて三センチだけでも」
「欲しいのね」
「一五五センチからね」
「そういえば声優さんでも一五五が大体小柄かどうかの目役かしら」
かな恵は一華が自分の身長である一五五センチからさらに欲しいという言葉を受けてそのうえで言った。
「どうも」
「そうね、一五〇で完全に小柄でね」
「一五五が目安よね」
「それで一五五以上あったら」
一華はさらに話した。
「普通かしら」
「背はね」
「それで一六五より上だと」
「高身長ね」
「声優さんだとね」
ここで言う声優とは女性声優の人達のことであり当然ながら男性声優の場合はまた違う。
「そうよね」
「誰も言わないけれどそんな基準よね」
「大体ね」
「ただ一六五以上の女性声優さんって少ないわね」
かな恵は考える顔で言った。
「一五五以下の人が多いわね」
「声優さんって小柄な人多いのよね」
「一五〇以下の人もね」
「多いのよね」
「中には一四五ない人もおられるし」
「それで童顔だったりするから」
そこまで小柄なことに加えてだ。
「子供みたいなのよね」
「それが尚更ファン獲得してるわよ」
かな恵はこのことを話した。
「小柄なのがいいって言って」
「そうなの?」
「声優ファンの間でね」
「そうなのね。小柄な人がいいって」
今度は一華が首を傾げさせて話した。
「私にはわからないわ」
「人それぞれよ」
「好みは」
「だから小柄な人が好きな人もね」
「いるのね」
「マジックの長女さんも」
かな恵は自分達が通っている八条学園の傍の商店街にある喫茶店の人の話もした。
「そう言われてるみたいだけれどね」
「あの女子大生の人ね」
一華もそれが誰かわかって応えた。
「八条大学の」
「それであのお店の娘さんで」
「学校の時以外はいつもお店におられるのよね」
「あの人も小柄でしょ」
「一五〇位ね」
一華はその背丈をすぐに言った。
「私よりさらにね」
「小さいわね」
「それであの人もなの」
「もっとね」
今以上にというのだ。
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