第一章
[2]次話
犬と時間
ふわりは今自分のケージの中に入って丸くなってぐっすりと寝ていた、彼女の家族である国咲家の主婦百合子はその様子を見て夫の文太に言った。
「ふわりって今三歳だったわね」
「ああ、そうだ」
「もう大人よね」
「犬だったらな」
夫は妻に答えた。
「そうだぞ」
「そうよね」
「代々二十代だな」
「人間で言うと」
「その頃だな」
「女の子じゃなくて大人の女の人ね」
「だから洋介よりもな」
人間でいうと、というのだ。
「大人になるな」
「妹になってるけれど」
「そうなるな、それで十年も経ったらな」
ふわりが十歳になる頃にはというのだ。
「大体六十か」
「お婆さんね」
「もう俺達よりもな」
今の自分達よりもというのだ。
「年上でそこから三年も経つと七十位だからな」
「人間でいったら」
「ふわりがそうなる頃にはな」
それこそというのだ。
「俺達より年上だな」
「娘でもなのね」
「それが犬の取り方でな」
それでというのだった。
「時間だな」
「人間とは違うわね」
「人間と犬じゃな」
「時間が違うのね」
「そうなんだ」
夫は妻に話した。
「だから十歳でもまだ子供って思ってな」
「接したら駄目ね」
「人間だと子供でもな」
「犬だとお婆さんね」
「ふわりでもな」
「そうなるのね」
「ああ、そのことを頭に入れてな」
そうしてというのだ。
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