第三十一話 墓参その十
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「そのことは」
「そうだったのか」
「一緒に戦う仲間だからね」
それ故にというのだ。
「今日にでもね」
「そこで聞かれたか」
「それでいい機会だと思ったよ」
「そうですか」
「そう、ただね」
それでもというのだった。
「皆が一緒にと言ってくれることはね」
「当然のことだ、俺達は仲間だ」
神威は確かな顔と声で答えた。
「それならな」
「僕が星史郎さんと会う時も」
「一緒にいる、そして何があってもだ」
昴流に顔を向けて話した。
「昴流さんを死なせない」
「そうしてくれるんだね」
「約束する、しかし」
「しかし?」
「本当に憎んでいないんだな」
昴流にこのことを確認する様に問うた。
「その人のことを」
「そうだよ、自分でも不思議に思うけれど」
「お姉さんを殺されてもか」
「僕は恨んでいないよ」
星史郎、彼のことをというのだ。
「全くね」
「そうか」
「そして戦いになっても」
「いいか」
「覚悟しているよ」
そうなることもというのだ。
「僕はね」
「そのうえでか」
「星史郎さんと会うよ」
「ならその時はここにいる面子から何人か若しくは全員でだ」
「一緒にだね」
「昴流さんについていく」
「相手もそうしてくるかも知れないですが」
玳透も昴流に言った。
「その場合は尚更です」
「皆がいた方がいいね」
「はい」
まさにというのだ。
「出来るだけ」
「その時戦いになるなら他の地の龍は俺達が相手をする」
昴流はまた語った。
「だからな」
「僕はだね」
「その人と話してな」
そうしてというのだ。
「決着をつけたいな」
「そう言われるとね」
「なら昴流さんはそれに専念してくれ」
「それではね」
「どうもだ」
ここで神威はこんなことも言った。
「昴流さんは俺に似ている気がするしな」
「僕もだよ、ただ君は大切な人を失わないで済んだね」
「小鳥をか」
「それならね」
昴流は神威に微笑んで話した。
「もう絶対にだよ」
「小鳥を失わない様にか」
「しないと駄目だよ」
「そうだな、俺もだ」
神威もそれはと応えた。
「そのつもりだ」
「彼女を何があっても守るんだよ」
「そうする」
「僕は出来なかったから」
昴流はこの言葉は寂しい笑顔で話した。
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