第一章
[2]次話
主婦のダイエット
黒田美沙緒は家で夫の界人に言った。
「ダイエットしようかしら」
「そこまで太ってないだろ」
細面で穏やかな目で黒髪を右に分けている、唇は薄く背は一七〇位ですらりとしている。職業は銀行員である。
「別に」
「いや、お腹とかにね」
「ついてないぞ、脱いでもな」
妻に夫として答えた。
「別にな」
「そうかしら」
「気にし過ぎだろ」
「結婚した時と比べてね」
美沙緒は五年前の二十四歳の頃の自分と比較した、茶色い髪の毛は波がかっていてかなり長い。はっきりした切れ長の目で眉は奇麗なカーブを描いていて細面で唇は赤く普通の大きさで鼻の高さは普通だ。背は一六五位で胸も尻も九十を超えている。
「そうでしょ」
「いや、それは」
「正直に言ってね」
夫に釘を刺す様にして告げた。
「これから」
「ああ、そう言われるとな」
「そうでしょ、アラサーになってね」
「お腹のところがな」
夫はこれまた正直に答えた。
「結構な」
「だからよ、これからダイエットしようって」
その様にというのだ。
「私もね」
「考えてるんだな」
「ええ、走るか泳ぐか」
「それならな」
夫は妻の考えを聞いて言った。
「簡単にそれも確実に出来ることがあるぞ」
「それは何?」
「パート先のスーパーまで歩いてな」
家からというのだ。
「行き来してな」
「運動ね」
「それだけで違うだろ」
こう妻に言うのだった。
「歩くだけで」
「そうね、そういえばね」
妻は夫に言われて頷いて答えた。
「最近ちょっとした距離でも車で移動してたし」
「その分運動してなかったな」
「ええ」
そうだったというのだ。
「私はね」
「だからな」
「歩けばいいのね」
「スーパーまで歩いて行けるだろ」
そうした距離だというのだ。
「そうだろ」
「歩いて二十分位ね」
「それでスーパーの仕事ずっと立って歩くだろ」
「そのこともあるし」
「いいだろ、だからな」
「そこで歩けば」
「余計にいいさ、あとお前いつもおやつ食べてるだろ」
こちらのことも言うのだった。
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