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神々の塔
第三十一話 天平の宴の後でその十三

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「実は」
「濁酒に氷を入れる」
「当時氷はめっちゃ貴重で」
「そうそうなかったな」
「氷室に冬の間置いておいて」
 尚こうした部屋は天才バカボンにも描かれている、そこにずっといてコールドスリープの様になった少年の話があるのだ。
「そして」
「夏に少し残った氷を食べてたな」
「それでそんなん出来るのは」
「一部の力のある人だけやったな」
「江戸時代でも」
 奈良時代から千年経たこの時代でもというのだ。
「氷はめっちゃ高価で」
「将軍さんとかが食べてたな」
「伊達政宗さんが将軍さんに献上したり」
「そんなものやったな」
「それで」
「氷を入れてお酒を飲む」
「この世界でも普通やけど」
 十星連合ではだ、冷蔵庫も普及していてだ。
「そやけど」
「起きた世界の奈良時代ではやな」
 シェリルも言ってきた。
「長屋王みたいな人だけが出来た」
「めっちゃ贅沢な楽しみ方やってん」
「そやったな」
「今で言うロックやね」
 この飲み方だというのだ。
「それをしておられてん」
「あの人は」
「そやねん、ほな今日は」
「濁酒をやな」
「そうして飲むわ、うちは」
「ほな私もや」 
 シェリルもそれならと言ってだった。
 盃に氷を入れた、そうして濁酒を飲んでこう言った。
「よお冷えててな」
「美味しいね」
「ああ、濁酒もな」
 この酒もというのだ。
「冷えてるとな」
「これが好きな人には堪らんわ」
「ほんまにそやな」
「うち熱燗も好きやけど」
 この辺り無類の酒好きの綾乃らしいと誰もが聞いて思った。
「ロックも好きやねん」
「そういえばよお飲んでるな」
「冬でもやねん」
「ロックで飲んだりするな」
「水割りもソーダ割りもええけど」
 そうした飲み方と共にというのだ。
「ロックも好きで」
「今もやな」
「楽しんでるで」
「そうしてやな」
「勝利を祝おうな」
 言いつつだった。 
 綾乃は氷でよく冷えた濁酒を飲んだ、そしてすぐにもう一杯飲み仲間達と共に今回の勝利を祝福するのだった。


第三十一話   完


                   2023・6・23
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