第三十一話 天平の宴の後でその九
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「楽しもうな」
「そうよ、今日は身体も清めたし」
アレンカールも言ってきた、当然彼も鰻丼を食べている。
「後はお腹一杯食べてよ」
「ぐっすり寝ることや」
「それに尽きるわね」
「ぐっすり寝て」
そしてというのだ。
「そのうえでや」
「明日の神霊さんとの戦に挑みましょう」
「そうしよな、ご飯の中に鰻があるのも」
蒲焼きこれがというのだ。
「これまたな」
「おつやな」
「そう思うわ」
芥川にも応えた。
「つくづくな」
「さっきも言った通りやな」
「お米がないとな」
「考えつかんな」
「鰻丼自体がな」
「これは蒲焼きが冷えん様にしたらしいな」
芥川はこの鰻丼の由来を話した。
「ご飯の中に鰻を入れてや」
「そうしてご飯に隠して熱気を逃さん様にしたんやな」
「ご飯の温もりでな」
「そうした配慮してやな」
「自由軒のカレーもな」
織田作之助が愛したこのカレーもというのだ。
「ルーとご飯最初からまぶしてあるのもな」
「完全に混ぜてるのもか」
「それもや」
この独特の作り方もというのだ、自由軒ではこのカレーを名物カレーと呼び普通のカレーをルーとご飯が別の別カレーと呼んでいる。
「冷えん様にな」
「配慮したんやな」
「昭和の頃は電子炊飯器とかなかったしな」
当時の日本にはだ。
「コンロかてな」
「今とちゃうな」
「もう全然ちゃうかったからな」
起きた世界の現代とは、というのだ。
「食べものもすぐ冷えた」
「それを熱いうちに食べてもらうにはどうするか」
「そう考えてな」
そしてというのだ。
「どっちの料理もや」
「生み出したんやな」
「そうや」
「成程な」
「それで美味しいやろ」
「工夫の味もしてきたわ」
その話を聞いてとだ、シェリルは笑って答えた。
「ほんまに」
「そうなったか」
「ああ、ほな私もおかわりするわ」
「そうするか」
「それで蒲焼きも吸いものも」
両方もというのだ。
「よおな」
「食べるな」
「そして精をつけて」
そのうえでというのだ。
「明日はな」
「戦おうな」
「そうしような」
こうした話をしてだった。
一行は今は鰻を楽しんだ、そしてそのうえでじっくりと寝て英気も養った。それから朝起きると身体を清め。
そのうえで神霊達との戦に挑むが大伴家持が言ってきた。
「鰻か。よいものを食したな」
「あっ、万葉集の頃から」
「鰻は食していた」
家持は綾乃に微笑んで答えた。
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