暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第166話:錬金術のヒュドラ
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?』
『出来る。やって見せるさ。そうする必要があるのなら、俺は幾らでも奇跡を起こす』
『その根拠は?』
『誇りだ。父さんの息子である事の誇りに懸けて……』

 曇りなき目で気高い理想を掲げる颯人の姿は、こんな道しか選べなかったサンジェルマンには何よりも眩しく見えた。一見すると彼の掲げる理想は絵空事、ただの理想論にしか聞こえないかもしれない。事実カリオストロとプレラーティは彼の志をそう断じるだろう。少なくとも、口では。

 だが2人が颯人の理想を言葉で否定した事はこれまでただの一度もない。2人もあの瞬間、理想を掲げる颯人の姿に言いようのない凄味を感じたのだ。生きた年数で言えば孫レベルなんてものではないほどに年の離れた、ガキと言う言葉すら使うに値しない若造相手にである。

 長年野望の為に心血を注いできたサンジェルマン達の心を震わせるほどの気迫を、20年とそこらしか生きていない颯人が発した事に、しかしサンジェルマンは何処か嬉しく誇らしさを感じずにはいられなかった。親目線とでも言えばいいのだろうか。子供の頃の彼を知っていて、且つ彼の両親の事も知っているからこそ抱けた思いかもしれない。

「正義は1つじゃない、か……だとしても! 今更往く道を振り返ることはできない! 例え1人で駆けたとしても……!」

 颯人の賛同が得られなかったのは残念に思う。あれ程気高い志を掲げられる彼が共に歩んでくれたなら、きっと野望も完遂する筈。だが、もう止まれない。ならば例え自分1人でも駆け抜けると言う気概を口にする。

 すると横からプレラーティが言葉を挟んだ。

「1人じゃない」
「ん?」

 思わず声のした方を見れば、眼下を見下ろしながらプレラーティが言葉を紡ぐ。

「1人になんてさせないワケダ」
「サンジェルマンのお陰で、あーし達はここに居る。何処だって3人でよ♪」

 何処までもついて行くと口にする2人の同僚に、サンジェルマンは胸の内が温かくなるのを感じた。颯人の眩しさに照らされて、危うく見失うところだった。自分には既に共に歩んでくれる仲間がいる。この2人が共に来てくれるのであれば、それで十分だ。

 思わずサンジェルマンの顔に笑みが浮かんだ。

「フッ…………」

 僅かな笑みと共に、何時の間にか肩肘に掛かっていた重さが消えている事に気付く。良い具合に緊張が解れてくれたようだ。
 サンジェルマンは気合を入れ直し、眼下の景色を見ながら呟く。

「人類が、この星の完全なる霊長となる為には、支配される存在であってはならない。完全を希求する錬金の理に、シンフォギアと魔法使いに阻まれる訳にはいかないッ!」




 サンジェルマン達が新型を中核として多数のアルカノイズをばら撒く。それに対抗すべく、颯人達も現場へ
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