暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第166話:錬金術のヒュドラ
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に歩み寄れる切っ掛けを見つける事だ。それが出来ない今、どんな状況でもお前達を近付ける訳にはいかない」

 正論だった。ぐうの音も出ない程の正論だ。無理くり近付いて力技でどうにかなるほど、今の2人の間に出来た溝は簡単には埋まらない。寧ろ緊急事態だからこそ、2人は話しておかなければ何が起きるか分かったものではなかった。

 それに颯人が透をこの場に残しておくのは、別の理由もあった。

「それと、お前はガルドと一緒にあのレギオンって奴が出た時の為に残っててくれ。アイツは好き勝手動き回ってるみたいだからな。何時何処で何か仕出かしても不思議じゃない」

 そう言われてしまっては仕方がない。体よく理由を付けて待機を押し付けられたような形だが、筋は通っているので納得は出来た。
 そこで2人は弦十郎の方をチラリと見る。考えてみたら司令は彼なのだから、方針を決めるにしても彼を通さなければ話にならない。ここで彼が「関係ない、行け」などと言おうものなら否応なく透も出撃しなければならなくなる。

 とは言えそれは杞憂だった。何よりも弦十郎は懐の大きな男。この程度の事で目くじらを立てる程狭量ではない。2人の視線に弦十郎も小さく頷いた。

 司令からの許しも出たところで、颯人は透を残して発令所を後にするのだった。










 同時刻、東京上空に光学迷彩で姿を隠した一隻の空中戦艦が居た。颯人達が赴いた、バルベルデにて出現したあの空中戦艦だ。
 その戦艦の持ち主はパヴァリア光明結社。バルベルデで出現した奴も彼女らから供与されたものだったのである。

 東京上空から眼下の景色を見下ろす戦艦の姿は、光学迷彩で隠れている為肉眼では勿論センサーやレーダーでも捉える事は出来ない。よってS.O.N.G.もその存在に気付く事は出来ていなかった。

 そんな戦艦の船首の上に、結社の幹部であるサンジェルマン達3人は居た。3人の内の1人、カリオストロの手には多頭の蛇の意匠を付けた杖が握られている。

「オペラハウスの地下には、ティキ以外にも面白い物がゴロゴロ眠っていたのよね〜♪」
「もったいぶってなんて居られないワケダ」
「そう、我らパヴァリア光明結社は、神の力を以てして世の理をあるべき形へと修正する」

 サンジェルマンは眼下のアルカノイズを見下ろしながら呟く。彼女達はその為に、多大な犠牲を払ってここまでやって来たのだ。全ては人類をあるべき形へと誘う為。正しきは我らにありと言う志を胸にこの日まで動いて来た。

 だがそれを口にする度、彼女の脳裏には先日の颯人との会話が思い出されてしまう。

『救済の形は1つじゃない筈だ。俺は千に一つ、万に一つの可能性だとしても犠牲が一番少ない方法を選ぶ』
『それが本当に可能だとでも……
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