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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
信託-とどける-
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!」
「でも大丈夫。マスターが生きてくれていた。それだけで私は嬉しいよ。」

泣きじゃくる堂本を抱きしめ、なだめるブーディカ。

「……。」

押しつぶされそうな程に重苦しい空気。
子供たちの泣く声、大人ですらすすり泣いている。
怪我を負い、未だ目覚めないクリスとシャルルマーニュ。心配そうに見ている武蔵とガウェイン。
そこにいる俺は黙って車両から出ていった。


「……。」

時刻は昼過ぎだが、分厚い雲のせいで辺りは薄暗い。
車両にへたり込むようにして、団長はいた。

「……。」
「風邪をひくぞ。」
「…あなたこそ。」
「俺は馬鹿なんだ。だからひかない。」

雨に濡れることも構わず、隣に座る。
ほんの少しばかり顔を上げた団長に、俺はあるものを差し出した。

「忘れ物だ。」
「…。」

写真。
団長、そして団長の夫と、妹が写っている写真。
彼女の部屋に飾ってあった、唯一の写真だ。

「大切なものだろう?焼ける前に回収しておいた。」
「…ありがとう。」

そのまま受け取り、懐にしまう。

「…あたしさ。物語を、書くのが好きだった。」
「…そうか。」

ふとそんな昔話を始める団長。
いや、今は本名、木村良子と言った方がいいのかもしれない。

「弱きを助け強きをくじく、誰にも負けない最強の騎士。小さい頃からあたしはそんな絵空事に憧れててね。」
「……。」
「世界がこんなになって、明日のことすら考えられなくなって、不安な毎日が続いて、そんな時、あたしの元にシャルルマーニュが来てくれた。」
「……。」
「だから決めたんだ。シャルルマーニュのマスターなんだから、もうカッコ悪い真似はできない。妹や夫の前でかっこよくしとかないとって。だからあたしは」
「昔書いた騎士を、そのまま自分に重ねた。」

弱い自分を隠すため、皆を不安にさせない為、
だからこそ彼女は、鎧を身にまとった。
過去に思い描いた、その『紺碧の賢狼』に。

「なりきれば、何か変われると思った。みんなが付いてきて、ここまで大きくなって、でもあたし自身は何も変わっちゃいない。」

鎧を剥がされれば、そこにいたのは変わらない自分。
何も出来ず、夫と妹を殺害された、ただの自分。

「笑っちゃうでしょ?いい年こいた三十路女が、コスプレモドキの騎士ごっこしてんの。」

吐き捨てるように、自分を嘲笑するように言うと彼女はまた項垂れる。

「だからもう、いいんだ。」
「……。」
「レジスタンスなんて、辞める。思い上がってた。あんな巨大な組織に楯突くのが間違いだったんだ。」


えづく彼女。
時折肩は震えており、明らかに泣いている。

「真希夫も、桃華も、仲良くしてくれた人もみんなみんな死
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