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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
信託-とどける-
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を感じ、酷く落ち込んでいる団長。
あの様子だとこのままでは、組織のリーダーとしてやっていくことは難しいだろう。

そして、

「……。」

毛布を敷いただけの硬い床に寝かされているのはクリス。
容態は落ち着いてはいるが、片手片足を失い。さらには右目まで失っていた。
目覚めて彼はこの事態を受け止め切れるかどうか。
そしてこの状態では、医者として働くことはもう…。

「彼が生きている。私は、それだけで良いのです。」
「ガウェイン?」

僅かに胸が上下し、寝顔もいくらか穏やかになったクリスを見てガウェインは呟く。

「クリスは、多くの者を救ってきました。世界が崩壊してからここまで。数え切れないほどに。自分のことなど一切気にせず、嫌われようが、石を投げられようが人の為に頑張り続けた。」
「……。」

その話は聞いている。

「それなのに…何故このような仕打ちを受けなければならないのでしょうか…!」

クリスの頬に雫が落ちる。
泣いている。
マスターに付き従い続け、誰よりもその頑張りを見続けてきたガウェインはこらえようにもこらえられず、涙を流している。

悲しみに暮れ、責任に押しつぶされそうなのは彼女だけじゃない。
生き残った皆も、何も出来なかった子供達も、
そして、誰一人救えなかった俺も。

「……」
「すまない…とはいっても許しては貰えないな。」

その中で人一倍気負っているのは堂本だった。

「いえ、結構です。僕があそこでしっかりしていれば、あんなことにはならなかった。」

田村のことが余程こたえたのだろう。
普段は塩対応の彼だが、今は余計に冷たくなっている。

「あいつも鈴鹿御前も、何もしてないのに…。どうしてあそこまでされなきゃいけなかったんだ…!」

田村将と鈴鹿御前のその後は、武蔵から聞いた。
置鮎に深手を負わせたものの、田村は背後から撃たれて重症。
さらに鈴鹿は財団の団員に身体を穢された挙句、撃たれた。
彼女が撃たれたものはどうやら『洗脳弾』の可能性が高いらしく、生きてはいるもののもう元の鈴鹿御前には戻れないらしい。
言ってしまえば、あのゾンビ兵達のように財団団長、葛城恋に心酔し全てを捧げるようになる。

「許さない…許さないぞ葛城財団…!!」
「……。」

悲しみが怒りに変わる。
涙を流しながら怒るも、そのどこへ向けたら分からない怒りの矛先は床へぶつけられた。
怪我するのもかまわず、床を殴る堂本。
しかしそんなとき、

「大和さん。ちょっといいかな?」

俺の前にブーディカがやって来る。
何も言わず俺はどくと、ブーディカは「ありがとね」とだけ言い、そのまま堂本を抱きしめた。

「……。」
「悔しかったね。」
「う、うぅ…っ
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