第六十九話 挟撃
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食らいになってしまった。それに大きな被害を被った場合、回復に時間がかかる。メシ…補給については補給線が短いため今回に関しては問題がないが、損傷軽微で艦隊戦を切り抜けなくてはならない、という問題は解決出来ないのだ。
どれくらいの間スクリーンだけを見つめていたのだろう、珈琲とサンドイッチを持つフォークの存在に全く気が付かなかった。オットーは俺を気にするまでもなくサンドイッチをほおばっている。教えてくれよ!
「大尉、念願の宇宙艦隊司令部だ。しかも参謀勤務だぞ。ご感想は?」
オットーからの問いにフォークは珈琲を一口すすった後、軽く胸を反らした。
「嬉しい事には違いはありませんが、成り行き上…と考えると複雑ですね」
「成り行き上ね…確かにそうだな。敵の出現にしろ、宇宙艦隊司令部にしろ、誰もこんな事態は望んじゃいない」
フォークの感想を聞いてオットーが吹き出した。
「おいおい、なんだか余裕綽々じゃないか…フォーク参謀殿は、この先どうなると思う?」
フォークはタマゴサンドを珈琲で流し込むと、ふうと息をついてオットーの質問に応えた。
「そうですね…味方、ここフォルゲンは苦しいかもしれません」
「どう厳しいんだ。途中経過が抜け落ちているぞ」
オットーの感想に軽く咳をすると、フォークは改めて語りだした。
「出撃前の、アムリッツァでの会話を思い出したのです。小官の申し出た迎撃案…今思うとあれは敵の採る作戦案です」
「ほう」
「何故フォルゲンだけに敵が現れたのか。普通に考えれば、ボーデンにも同時期に現れる筈です。そしてそのままアムリッツァに侵攻する…ですが、現実はそうはなっていない。フォルゲンに到着後、何をする事もなく留まっていた」
フォークの奴…中々鋭いな。オットーも茶化す事なく聞いている…。
「敵はボーデンに向かう別働隊が存在すると我々に見せかけ、此方の戦力を二分し、その二分した片方…我々の撃破を目論んでいるのではないでしょうか。常識的な指揮官や参謀なら、アムリッツァに至る道が二つあるのなら、その両方から攻める…星系をまたいだ分進合撃を企図する事は想像に難くありません。ですがまた、此方も常識的に考えば、両方の星系に戦力を配置する…何があるにせよ片方の道を空にする事は出来ませんから。となると敵にとって分進合撃は効率のいい作戦ではありません。であれば此方の戦力配置を見極めた上で、どちらか片方の我々を撃破する事に全力を傾ける方が理に叶っています。成功すれば、此方の戦力を一時的にでも半減させられます」
オットーは唸った。そうなのだ。敵が何をするにせよ此方は戦力を二分しなくてはならない。常識的で冷静な指揮官ほどそうするだろう。誰だってそうするに違いないのだ。出撃前のフォークの進言は今となっては正しかった、だが、あの時点でそれをおこなうには不確
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