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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第六十九話 挟撃
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ら余計な緊張をしなくて済む」
「だな。あいつは白兵戦でもない限り、緊張なんてしないだろう。しばらく副官役は俺がやってやるよ…大丈夫か、総参謀長」
「敵の仕掛けが早い。兵力は敵味方同規模でも、戦術単位は向こうの方が多い。どうしても後衛にいる一個艦隊が気になってしまう」
「相手の前衛は合わせて三万六千隻程…此方は横一線で四万五千隻。一万隻近く差はあるがお互い横並びで戦っているから、それほど彼我の差はない。後衛の一個艦隊、お前が気にするくらいだから、ボロディン提督達はもっと気をやんでいるだろうな」
「ああ、今は余計な事を言って前線を困らせたくはないし、それにあの敵の前進は各艦隊の連携だけで止めてしかるべきものだ。味方のほうが多いんだ、善処を期待するよ」
「じゃあしばらくは様子見か」
「そうだね」

アムリッツァ駐留以降、各艦隊はフル編成になっている。同盟領とはいうものの感覚的には敵地だから、各艦隊は艦艇数が一万五千隻の定数を充たしていた。国内の警備部隊を解体し、それを編入したのだ。これにはシトレ親父が行った四百万人の削減が影響している。リストラと並行して国内の根拠地隊、補給基地の統廃合が行われた。という事は、そこに所属していた警備艦隊もなくなることになるし、司令職や各指揮官のポストが減る、という事だった。指揮官職のポストが減るという事は、高級軍人にとっては望ましくない事態だ。軍内部の反発は必至と見られていたが、シトレ親父は上手い方法で切り抜けた。各艦隊の定数を増やし、編成を変えたのだ。今までは各艦隊の定数一万三千隻だったのが一万五千隻に増えた。これは一個艦隊あたり三十近い指揮官職が生まれる事を意味していた。軍内部では根拠地隊や辺境の補給基地の司令職というのは左遷先や上がりのポスト、という言わば格落ちの見方をされる事が多かったから、そこから艦隊の各級指揮官へ、という人事異動は特に高級軍人に歓迎された。また、四百万人の削減と言っても、民間へ人的資源を還元するという意味合いの物なので、辞めた軍人達は主に軍を取引先とする企業が諸手を上げて迎え入れた。辞めた軍人達は補給関係の人間や技術者、警備関係の軍人が多く、リストラによって生じた業務上の穴は軍辞めた軍人達を迎え入れた民間企業が委託契約という形で引き継いだから、軍の機能損失は最小限に留まった。まあ、単純な見かけの変化と数字と書類の操作なのだが、誰も損する者がいないというまさにWin-Winな改革であり、軍のシトレ政権は盤石さを増した。
 …そのシトレ親父の手腕は置いておくとして、艦隊の定数が一万五千隻になったのは前線での兵力増強の効果は抜群だった。今俺の手元にあるのは三個艦隊だが、今までなら三個艦隊で三万六千から三万七千隻だったのが、今では四万五千隻だ。だが、図体が大きくなった分パワーも増したが、大メシ
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