暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第六十九話 挟撃
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
対する為に兵力を派出せねばならない。現れた我々に全力で向かって来る事がないのは自明の理だった。片方を空にした場合、そちらから突破を許してしまうからだ。

”叛乱軍はアムリッツァ保持の為にも必ず戦力を二分するだろう。対する我々は敵に比して兵力は少ないが、二分した敵の一方を撃破出来るだけの兵力はある。となれば此方は集中して敵の兵力の片方を早期に撃破する。さすれば味方の勝機は高まる…とウチのラインハルト大佐は申しておる。幸運にも味方の終結には時間差がある。司令官閣下におかれては、敢えて終結前に戦端をひらかれるが宜しかろう。さすれば我々が援軍の形で戦場に到着、時間差をつけた挟撃体制を構築出来ると一考するが“

 ヒルデスハイム伯の言った事は尤もだった。道が二つあって、そのどちらかに敵が出現すれば、もう一方からも敵が来るのではないか、と叛乱軍が判断するだろう事は容易に想像がつく。であれば奴等は空いたもう一方の道も塞ぐだろう。それを逆手に取って敵戦力の漸減を果たす…。危ういが、いい案だ。ヒルデスハイム艦隊が活躍しているのも頷ける。ラインハルト大佐か…寵姫グリューネワルト伯爵夫人の弟、金髪の儒子…ブラウンシュヴァイク公は夫人を嫌っていた筈、その弟が公の一門のヒルデスハイム伯を支えているとなると、宮中も少し騒がしくなるかもな…。
「左翼シュトックハウゼン提督、前衛中央のゼークト艦隊に命令、前進せよ」
「はっ!」




02:30
自由惑星同盟軍、アムリッツァ駐留軍第一任務部隊、
旗艦アストライオス
ヤマト・ウィンチェスター

 ローザス少尉の表情が固い。無理もない、初めての艦隊戦だ、しかも互いが五万隻近い艦隊戦なんてそうそうあるもんじゃない。
兵隊の頃は楽だった。目の前の仕事に没頭するから、戦闘をやっているなんてどうでもよくなってしまうのだ。士官でも、戦況の見えない部署に配置されている者は早く終わらねえかな、などと考えていたりするものだ。だが艦橋、特に指揮艦橋配置ともなるとそうもいかない。戦況が分かるし、味方の艦が沈むのが見える。自艦に向けられた砲火が見える…。特に至近に存在する味方艦艇が撃破されるのを見てしまうと、次はウチか、と高揚していた精神が萎縮していくのが自分でも分かるのだ。
「…閣下、敵左翼と中央が前進を開始しました、攻勢も強まりつつあります」
「確認した…少尉、大丈夫かい?小休止してもいいが」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
口では大丈夫とは言うものの、表情はそうは言っていなかった。マイクに目配せすると、お茶でも飲みに行こうぜと少尉の肩に手を回して二人で艦橋を出て行ってしまった。
「やれやれ、だな。マイクは」
艦橋出入口を見やりながらオットーが肩をすくめる。
「でも頼りになるよマイクは。あいつが居るか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ