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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第六十九話 挟撃
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勝てる訳ではない、戦闘そのものは艦隊の仕事なのだから司令部要員の数はそれほどいらないだろう、というのが司令長官代理と総参謀長の方針です。補給に関しては後方勤務本部のイゼルローン支部とアムリッツァ支所が担当します。補給線も短くて済むので全力で支援可能との事です」
「それは誰から?」
「ウィンチェスター総参謀長からです。補給の件も総参謀長がイゼルローンのセレブレッゼ中将と調整済みとの事です。昨日お渡しした資料にこの件も記してある筈ですが…」
「…ああ、済まない、見落としていた様だ」
「…しっかりしてください。あと、直接次席参謀殿にお伝えしろと、総参謀長から伝言があります」
「へえ。なんと仰ったのかな」
「はい…『大佐の手を縛る物はありません、存分に』との事です」
「存分に、ねえ。なんとも心強い言葉だね」

 …ワイドボーンも少し心配そうな顔をしている。指揮官というのはこういう時、何と言って部下を励ますのだろうか。
「参謀長にはこちらの事を一任されている…私に考えがあるんだ。まあ、なる様になるさ」
おい、皆溜息をつくのはやめてくれ…。





帝国暦484年6月28日15:00
フォルゲン星系外縁部(シャッヘン宙域方向)、銀河帝国、銀河帝国軍、遠征軍旗艦スノトラ、
クライスト

 
 大した脱落艦艇もなく布陣する事が出来たのは喜ばしい限りだ。オーディンから約十六日…稀に見るハイペースでの行軍だった。途中ヒルデスハイム伯からの連絡を受け、シャンタウから経路変更したとあっては尚更だ。叛徒共の艦隊がトラーバッハに出現したという。クロプシュトック家の艦隊と呼応するように動いていたというが…ヒルデスハイム伯はフェザーンが過去に払い下げられた鹵獲艦艇を運用しているのではないか、と言っていたが…フェザーンの守銭奴共が何か企んだとしても、一万隻もの艦艇を運用するなどとは想像が飛躍しているのではないか。
伯と協議してフェザーン方面に航路を変更し、撤退したとされる正体不明の艦隊の行方を追ったが、それにも限度はある。すでに正体不明の艦隊に関する警報は帝国中に発してあるのだから、彼奴等がまだ帝国領内に潜んでいるとすれば必ず見つかる筈だ。二兎を追う者は一兎をも得ず、本来の作戦目的を果たすべきだろう。
「閣下、シュトックハウゼン中将、ゼークト中将、ギースラー中将の各提督から映像通信が入っております」
「繋げ」




6月30日02:00
自由惑星同盟軍、アムリッツァ駐留軍第一任務部隊、
旗艦アストライオス、宇宙艦隊司令部、
ヤマト・ウィンチェスター

 艦橋大スクリーンには敵と味方の概略図が移し出されている。対峙する帝国艦隊は前衛に三個艦隊が横一線に並び、その後方に一個艦隊が位置している。対する味方は三個艦隊が横一線に
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