第三十一話 天平の宴の後でその五
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「どうしてもな」
「それが問題ね」
「そや、あたるのがな」
「それであたって死ぬわね」
「鉄砲やからな」
河豚にあたると死ぬ、それは鉄砲と同じということでこの名前になったのだ。大坂でのことである。
「死ぬわ」
「そうよね」
「そやから素人さんが調理するのはな」
「めっちゃ危険ね」
「ほんま死ぬさかいな」
素人が迂闊に調理して食べるとだ。
「ちゃんとした人に調理してもらって」
「食べへんどあかんのよね」
「河豚はな、しかし機会があったら」
「食べたいわね」
「美味しいからな」
文句なしにだ、河豚程美味い魚はないという人もいる位だ。
「そやからな」
「食べたいわね」
「今度でもな」
「そやね、しかしはじめて食べた時は」
シェリルは河豚をそうした時のことを思い出して話した。
「お父さんお母さんが来日して」
「食べに行ったんやな」
「その時大阪に行って」
大阪は河豚でも有名な街であるのだ、このことは昔からであり大阪でよく河豚が食べられるのもそのせいであるのだ。
「食べたけど」
「美味しかったやろ」
「そやけど若しやと思ったわ」
「あたると」
「その危険をな」
どうしてもというのだ。
「考えたわ」
「それな」
中里も否定しなかった。
「河豚に毒あるのは事実やしな」
「そやな」
「この世界でもやしな」
サバフグやドラフグにはあるのだ。
「そうやしな」
「あたるかもと思って」
「心配やったか」
「お刺身も唐揚げもお鍋も美味しかったけど」
それでもというのだ。
「そこがな」
「それな」
「どうしても河豚にはつきまとうな」
羅と施も言って来た。
「こっちの世界でもやしな」
「あたることは」
「ここにおる全員食べたことあるけどな」
「何度か日本で楽しんでるわ」
メルヴィルとトウェインはその話をした。
「大坂とか博多とか山口で」
「確かに美味いけどな」
「こっちの世界では解毒出来るけどね」
あたってもとだ、アレンカールは話した。
「ほんまに猛毒やさかいね」
「そや、ほんまに怖い」
まただ、シェリルは述べた。
「河豚の毒は」
「その河豚を昔からな」
それこそ縄文時代からだとだ、中里はまた話した。
「日本では食べてたんや」
「多くの犠牲を出しつつやな」
「そやった、お刺身とかお鍋は」
「今みたいな」
「それはなかったやろな」
シェリルにこのことも話した。
「ほんま時代によってお料理も変わるさかいな」
「奈良時代とかはお寿司もなかったしな」
「シェリルちゃんお寿司好きやしな」
オーストラリアの羊や牛の料理も好きだがそうしたものも好きなのだ、納豆巻きの様な癖が強いものも好きである。
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