第二節:「みんなで一緒にアルペジオ」
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ギター》やABを専行してた子は、もう既に譜面をなぞってるみたいだけど、そうじゃない子等も好きに弾いてみてよ。ただ常軌を逸した扱い方をして壊さないでね。これから少なくとも半年は君等の相棒になる楽器なのだから、愛情を持って接してあげてね」
うん。言われるまでもなく俺にとっては宝物だ。
ウッカリ落として破損とか、長年の使用による摩耗での劣化とかはあるかもしれないが、わざと壊す様な真似はしない。
「特にジミヘ……エミヘンちゃんは、ギターに火を付けて燃やしたりしないでね」
「エ、エミヘンって私ですか!? そ、そんな事しませんよ!」
何故エミーさんが例に挙げられたか解らないけど、燃やしちゃダメだろ。あと何故か勝手に“エミヘンちゃん”と渾名を付けられてる。可愛い。
「ピノちゃんが持つとベースがよりデカく見えるなぁ」
「うッス! 私が持つとバイオリンもヴィオラに見えるッスよぉ〜」
確かに彼女は胸以外が小さいから、ギターよりも長いベースは大変そうだ。ってかベースのエッジに胸を乗せて弾いてる……あのベースになりてぇ〜。
「よ〜し……そろそろ30分経過したね。多少はMG・MBが手に馴染んできたかな?」
少しの間だが何か教わるわけでもなく自由にギターを弾いていたけど、とうとう授業に入るらしくリュカ先生の合図があった。
「これから正式にMG・MBを学んでもらうんだけど、もう一度心に留めておいてほしい事を伝える」
間違いなく真面目な話だろうから、皆が静かにリュカ先生を注目する。
「新楽器のお披露目会でも言ったけど、この特別授業の目的は『新しい楽器の講師を育成する』事にある。君等の中から各1人を来年度から芸高校音楽科のMG専行・MB専行講師として採用する。僅か半年で他人に教える立場へとなってもらうワケだけど、必ずしも天才であったり超絶技巧の演奏者だったりが教師に向いてるとは限らない。僕の様なイケメンが『女の子は笑顔で口説けば落とせる』って言っても、“それは出来る者の意見”だろ? 誰にでも如何な顔面の男にでも、女性を口説き落とせる話術や身形を教える事が出来なければ、ナンパの講師としては失格だ。君たちには、自分には超絶技巧は無理だけど、そこまでの道筋を示してあげる事は出来る講師になってほしい。その為にAGやAB専攻者じゃない者も選出した。だから技術を憶えるよりも学び方を憶えて欲しい。学び方を憶え、自身の経験として後進の者へ伝えていってほしい」
格好いい。
リュカ先生が言うから余計に格好いい。
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