第八十四部第四章 続く会談その二十九
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「その中でもね」
「とりわけ、ですね」
「強敵ですね」
「そう言っていいですね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「対立させるにしてもね」
「そう簡単にはいかないですね」
「とても」
「そうした相手ですね」
「二人を対立させようにも」
そう狙ってもというのだ。
「それでもね」
「それも難しい」
「そうなのですね」
「我々にしても」
「そう、難しいから」
だからだというのだ。
「仕掛けるにしても」
「難しいですね」
「そのことは覚悟して」
「そして仕掛けますか」
「閣僚二人は無理として」
カバリエと金、この二人を対立させようとしてもというのだ。見抜かれてしまい策は通じないというのだ。
「そのうえでどうするか」
「では末端や中堅ですか」
「そこを狙う」
「そうしますか」
「ええ」
こう周りに話した。
「この度はね」
「大臣を攻められないなら」
「他のスタッフを狙う」
「そうしますか」
「将を射るのならまず馬からと言うわね」
伊東はここでも諺を出した。
「将軍がどうしても倒せないなら」
「それならですね」
「馬を狙う」
「そうしますね」
「その場合は」
「そう、ただその馬もね」
伊東は微笑みつつも鋭い目になってこうも話した。
「裸ではないわ」
「鎧で身を包んでいますか」
「この度の相手は」
「左様ですか」
「そう、今の外務省と内務省はね」
まさにというのだ。
「有能な人材が多いわ」
「左様ですね」
「それではですね」
「その末端や中堅を狙うことも」
「容易ではないですね」
「我が国の話になるけれど」
伊東は微笑んで述べた、そこにある言葉は自国を振り返ってのことなので残念な気持ちと共に言うのだった。
「陸軍と海軍ならね」
「帝国陸軍と帝国海軍ですね」
「二次大戦までの」
「この二つの軍ですね」
「そう、お互いにあまりにも仲が悪くて」
この歴史のことを話すのだった。
「敵同士の様だったわね」
「何かといがみ合い」
「そうしてでしたね」
「もう作戦の支障さえ出ていましたね」
「ヒトラーにさえ言われる程度でした」
「そこまでのものでした」
「そう、あそこまでの対立になると」
それこそというのだ。
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