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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第165話:その名は”愛”
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れたのは、颯人が居るからなんだ。颯人を愛してるから、アタシは力を手に入れて戦い続ける事ができた」

 思えば最初にシンフォギアを纏った時。あの時も心を占めていたのは颯人の事だった。言うなれば颯人の存在が、彼に向ける想いこそが彼女の力の源だったのだ。

 颯人は何度も言ってきた。奏の歌さえあれば自分は何時でも全開だと。彼女の存在が、その歌が、彼に戦う為の力を与えている。
 だがそれは奏も同様だった。颯人が居てくれる、颯人が自分を見てくれている。その事が奏に無限の力を与えてくれていたのだ。颯人と奏は、お互いを原動力に戦っていると言っても過言ではなかった。現に今も、奏は颯人の事を想うと胸の中に温かい何かが溢れてくるのを感じた。その温かい何かが血管の中を駆け巡り、全身を満たしていく。

――そうか……これなんだ……――

 奏は胸元を手で押さえ、そして理解した。自分の力の源を。

 そしてこれが装者に力を与えてくれるものなのであれば…………

「マリア、思い出せ」
「え?」
「自分に力を与えてくれるもの……自分を守ってくれるもの……それを思い出すんだ」
「何? 何の事?」
「お前にもきっとある筈だ。お前も、アタシと同じガングニールを纏ったなら、きっと……」

 ふと気付けば、マリアは深く深くへ沈んでいた。海の中に沈んでいるようで、だが少しも怖くも苦しくもないと言う奇妙な感覚。

 その感覚の中で、奏の声だけが耳に届いた。

『手を伸ばせ……目に見えていないだけで、本当はそこにずっとあるものなんだ』

 言われるままにマリアが手を伸ばすと、そこには気泡が浮かんでいる。導かれるようにそれを手に掴むと、気泡が弾けその中にあった光が溢れだした。

「マリアさんッ!」
「ハッ!」

 突然のエルフナインの声に、マリアは目を開け飛び起きた。硬いベッドの上で寝ていたマリアが起き上がると、自分の事を心配そうに見ていたエルフナインと静かに見守っている奏の姿を目にする。

「ここは……白い孤児院? 私達が連れてこられた、F.I.S.の……?」

 周囲を見渡せばそこは見覚えのある光景。記憶にある白い孤児院の一室が広がっていた。

 呆然としていたマリアの耳に、子供がすすり泣く声が聞こえる。そちらを見れば、そこには幼かった頃の自分とセレナの姿がある。
 怯える2人に女性の研究員が手を伸ばす。幼いマリアがその手を取ろうとするが、ナスターシャ教授の振るう鞭がマリアの手を叩いた。

「うっ!?」
「今日からあなた達には戦闘訓練を行ってもらいます。フィーネの器となれなかったレセプターチルドレンは、涙より血を流す事で組織に貢献するのですッ!」

 冷たい目と言葉を自分に向けてくるナスターシャ教授に、幼いマリアは恐怖
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