暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第165話:その名は”愛”
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なんて、無茶を……!? あんなの死んでもおかしくないじゃないッ!?」
マリア自身、自分は幼い頃から過酷な実験や訓練を受けてきたと言う自覚はある。並の子供であれば耐えきれず脱落していたと言う確信もあった。しかしあれには及ばないと思ってしまった。確かにガングニールを纏う為に体を痛めつけたと言う自覚はあるが、それにしたってあんなに血反吐を吐くほどの経験はマリアには無かった。あれは最早自殺行為だ。
そこで彼女は違和感を覚えた。マリアが覚えている限りで、姿を途中で消したのは男の実験体として連れてこられたガルドだけだったのだ。しかもそのガルドも、正確にはウィズにより連れ出されたので脱落したのとは少し違う。
――どういう事……? 私は、何か……――
自分の中に浮かんだ違和感に、マリアが思考の海に入り込む。意識だけの世界で思考の海に入り込むと言う表現もおかしな話だが。
そんなマリアに気付かず奏は彼女の口にした言葉に続けるように答えた。
「実際、死んでもいいと思ってた。颯人を助け出す為の力が手に入らないなら、こんな命惜しくはないって思ってた」
「そんなの……!?」
奏の事にエルフナインが反論した。それでは何の意味もない。颯人は間違っても奏の犠牲なんて望んではいないのだから。遺跡で颯人が奏を守ろうとしたのに、その命を容易く手放そうとするなど間違っている。
「そんなの、おかしいですよッ! だって颯人さんは、奏さんの事を……!」
「あぁ、分かってる。アタシが間違ってた。それを教えてくれたのは、やっぱり颯人なんだよな」
奏がそう言うと再び場面が変わった。それは奏が再び颯人に救われた日。颯人に再会出来ぬまま、ノイズからまだ一般人だった頃の響を守る為に絶唱を口にした瞬間。
颯人は颯爽と奏の前に現れ、彼女の命を焼き尽くす筈だった絶唱の負荷を全て己の身で受け止めたのだ。奏が無茶をするなら颯人も無茶をする。揃いも揃って命を投げ出すような事を平然と行う2人に、マリアも呆れずにはいられなかった。
「あなた達って、本当に似た者同士なのね。付き合うのも何となく分かる気がするわ」
「ハハハッ……」
確かに、奏と颯人は似た者同士と言えなくもない。揃いも揃って愛する者の為に命を懸けてしまえるのだから。ぐうの音も出ないとは正にこの事だ。
だがお陰で分かった事がある。奏は改めて、自分が何故、何の為に戦いそして戦ってこられたのかを理解した。
「そうか……そうだ、そうだよな。何時だってそうだ」
「奏?」
「奏さん?」
1人頷きながら奏は過去の自分へと近付いていく。颯人との再会に、彼が生きていた事を実感し、歓喜の涙を流して彼と抱き合う自分に近付き流れる過去の自分の涙を指で拭った。
「アタシが戦ってこら
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