第九十話 欲情の自覚その三
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「もうそれ下着姿で前に出たのと同じよ」
「そうよね、やっぱり」
「どうせスカートの生地も薄かったでしょ」
「それで生足だったわ」
「それで二人だけで部屋にいたらね」
「ひろ君に押し倒されてた?」
「私が男の子だったらそうしてるわ」
留奈の返事は真顔でのものだった。
「確実にね」
「そうなの」
「若しかな恵がそんな恰好でお家に明男君と二人だけでいて」
弟である彼と、というのだ。
「そんな恰好であの子の前に出たらね」
「明男君もムラっときて?」
「実のお姉さんでもね」
かな恵がそうであってもというのだ。
「そうしてるかもね」
「うわ、そうした漫画ね」
「まさにね」
「それ滅茶苦茶怖いから言うの止めてね」
かな恵はボールを富美子の方にやりつつ応えてきた。
「明男となんて」
「嫌よね」
「想像するだけで寒気がするわよ」
顔にもそうした感情が出ていた。
「それだけはね」
「そうよね、実の弟君とはね」
「そんな漫画じゃないから」
「だから前凄く気にしてたのよね」
「あの子の持ってるそうした漫画でそうした組み合わせあってね」
まさに姉と弟のそれがというのだ。
「まさかって思って」
「それでなのね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「ずっと気にしてたのよ」
「そうよね」
「鳴海っちと大学を出てから」
「就職して」
「それからよ」
「そこ緩めて大学に入ってからじゃなかった」
理虹はかな恵の話を聞いて彼女に言った。
「それって」
「いや、今はね」
「そう考えてるの」
「まあ高校の間はね」
「少なくともなの」
「そうしたことはね」
どうにもというのだ。
「まだ早いわよ」
「そうなのね」
「私としてはね」
「かな恵ってそういうとこ真面目ね」
「そうかしら」
「同じクラスの娘でもどんどん経験していってるでしょ」
そうしたことをというのだ。
「皆ね」
「そうでしょうね」
富美子はボールを一華の方にトスして応えた。
「夏ってそういうお話多いし」
「むしろ私達が奥手よね」
「そう言っていいかもね」
理虹の言葉を否定しなかった。
「考えてみたら」
「そうよね」
「そうした経験ないし」
「相手いても」
「それでもね」
「そうしたことないって」
「手をつないでも?」
一華は自分のことから言った。
「駄目かしら」
「駄目に決まってるでしょ」
富美子はその一華にむすっとした顔になり口をへの字にさせて言葉をトスした。そうしてさらに言うのだった。
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