第百十一話 喫茶店での出会いその六
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「東京に昔からあるお店でな」
「常連さんだと態度がいいんですか」
「それで一見さんだとな」
「冷たいんですか」
「それ昔漫画にも描かれてたんだよ」
「どの漫画ですか?」
「恨ミシェランとかいったか」
西原理恵子という漫画家が週刊朝日に描いていた漫画である、この漫画家のセンスが如何なく発揮された名作である。
「その漫画でな」
「描かれてたんですか」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「こんな店あるんだってな」
「マスターも知られたんですね」
「俺みたいな人間には一生縁がないな」
そうした店だというのだ。
「全くな」
「そうですか」
「ああ、やっぱり一見さんだろうがな」
「常連さんでも」
「お客さんは同じだからな」
このことは変わらないというのだ。
「区別なんてな」
「されないですか」
「俺はな」
絶対に、そうした言葉だった。
「そう考えてるよ」
「それでそのお客さんのことも考えて」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「今はな」
「耐震をですか」
「しっかりしてな」
そしてというのだ。
「お客さんが何時でも笑顔で来られる様にな」
「されるんですね」
「それで改築の間はな」
マスターはその期間のことも話した。
「別の場所でな」
「お店されるんですね」
「その場所も確保しているよ」
「そうですか」
「ああ、それでずっとな」
「お店やっていかれるんですね」
「そのつもりだよ」
咲に笑顔で話した。
「俺はな」
「そうですか」
「ああ、だからな」
マスターは咲にあらためて話した。
「よかったらな」
「またですね」
「来てくれよ」
「そうしていいですか」
「言った通りだよ」
今しがたというのだ。
「ちゃんとな」
「お客さんならですね」
「誰だってな」
それこそというのだ。
「同じだからな」
「それで、ですね」
「気が向いたらな」
その時はというのだ。
「宜しくな」
「わかりました」
咲も笑顔で頷いた、そうしてだった。
カウンターでコーヒーを飲んでいた、すると。
「いらっしゃい」
「あっ・・・・・・」
ここでだ、店の中にだった。
一人の若い警察官がやって来た、スマートな外見で長身で面長で黒髪を奇麗に整えている。その若い警察官が来てだった。
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