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イベリス
第百十一話 喫茶店での出会いその五

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「何よりもだよ」
「地震ですね」
「それがあるから」
「耐震は大事ですね」
「あと地震が起こったら」 
 マスターは咲にさらに話した。
「まずテーブルの下に入るか」
「おトイレの中ですね」
「頭を守るもの被ったりしてね」
「座布団とかですね」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「自分を守ることだよ」
「大事なことはですね」
「それは知ってるね」
「子供の頃から言われてます」
 地震が起こった瞬間まず何をすべきかということをというのだ。
「テーブルの下とかに隠れなさいって」
「それだよ、そうして」
 そしてというのだ。
「難を逃れるんだよ」
「まずはですね
「それで揺れるのが収まってから」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「避難することですね」
「災害は最初だよ」
「大事なのは」
「起こった瞬間どうするか」
 このことがというのだ。
「本当にだよ」
「大事ですね」
「だからね」
 それでというのだ。
「俺はしっかりしてるんだよ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
「そして?」
「代々のお店とな」
 そしてというのだ。
「お客さんをな」
「守るんですか」
「ああ、お店に何かあったらな」
 その時はというのだ。
「お客さんも困るだろ」
「このお店に来ている」
「常連さんだっていてくれてるしな」
「そうなんですね」
「それも代々な、そのお店に何もない様にな」
「耐震もですか」
「やるんだよ」
 こちらもというのだ。
「しっかりとな」
「お客さんのことも考えて」
「お店だからな、あとな」
「あと?」
「常連さんっていったら」
 マスターは笑って話した。
「今も来てくれてるよ、何人もな」
「私以外のお客さんで」
「ああ、お嬢ちゃん以外今うちに来てくれてる人はな」 
 今の時点でというのだ。
「皆そうだよ」
「そうですか」
「有り難いよ、どんなお客さんも大事にしないとな」
「常連さんも私みたいな一見さんも」
「若し区別したらな」
 客を常連や新入りでというのだ。
「あっただろ、昔の寿司屋さんで」
「常連さんか一見さんで区別する」
「鳥すき屋は今でもか」
「そうなんですか」
「ぼたとか何とかいうな」
 そうした名前のというのだ。
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