第十二幕その六
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「楽しみにしておるのじゃ」
「うちの人はオズの国に来てからずっとこう言ってるんだよ」
ねねさんはその秀吉さんの横で言いました。
「もうね」
「人を笑わせることをか」
「それもなんだよ」
「はらわたがよじれるまでか」
「そうさせるって言うんだよ」
「笑わぬなら笑わせてやろうじゃ」
秀吉さんのお言葉です。
「それがわしじゃ」
「ははは猿らしいのう、まあわしもじゃがな」
信長さんも言ってきます。
「笑わぬならな」
「笑わせてやるですな」
「わしは鳴かぬなら殺してしまえと言われるが」
秀吉さんに応えこうも言います。
「その実はじゃ」
「殿も鳴かせてやろうですな」
「そして竹千代もな」
「ですな、徳川殿も」
「あの者もな」
「鳴くまで待とうではなく」
「鳴かせる為にな」
まさにその為にというのです。
「あの手この手をな」
「用いられますな」
「そうじゃ、それで笑わぬ者は」
信長さんは笑って言いました。
「笑わせてやるわ」
「そうされますな」
「そうする」
まさにというのです。
「わしもな」
「とことんですな」
「別に戦をしておる訳ではない」
信長さんはそうではないとも言いました。
「別にな」
「それならですな」
「もうな」
「笑うまで、ですな」
「笑わせる」
そうするというのです。
「常にな」
「それでわしもです」
「笑うまでじゃな」
「努めます」
「それでよいわ、笑わせるにはな」
「相手が笑うまで」
「それまでこちらが努める」
是非にと言うのでした。
「とことんな」
「ではそれがしも」
「そうしていくな」
「この街の主をさせてもらっているのです」
それならというのです。
「もうそれこそ」
「皆をじゃな」
「笑わせていきます」
「そうせよ、しかしお主」
信長さんは秀吉さんに笑ってお話しました。
「外の世界におる時よりもな」
「オズの国にいる時の方がですな」
「即ち今の方がじゃ」
「活き活きとしていますか」
「うむ、水を得た魚の様じゃ」
「柿を食った猿ではないですか」
「ははは、そう言うことこそな」
まさにとです、信長さんは破顔して言いました。
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