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第二十九話 家族その十三

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「なかったわ」
「そうですか」
「これまでね」
 こう言うのだった。
「そういえば」
「そうだったんですね」
「何か」
 こうもだ、颯姫は言った。
「私は随分と変わってきたわ」
「そうなんですね」
「地の龍だとわかって」
 時分自身がというのだ。
「他の人達と一緒にいることが多くなって」
「八頭司さんも変わられたんですね」
「颯姫でいいから」
「じゃあ颯姫さんも」
「ええ、変わったわ」
 静かな声で答えた。
「本当にね」
「実感されてるんですね」
「友達が出来たわ、そしてそうしたことがね」
 護刃にさらに話した。
「決してね」
「悪くないですか」
「嬉しいと言えば」
「そうなりますか」
「ええ、だからね」
 それでというのだった。
「これからもね」
「地の龍の皆さんとですか」
「一緒にいるわ」
「私もです」 
 護刃は颯姫の話をここまで聞いてにこりと笑って述べた。
「天の龍の皆さんと」
「一緒に過ごしていくのね」
「はい」
 その笑顔で答えた。
「そうさせてもらいます」
「本当に一緒ね。何かね」
 颯姫は護刃にこうも言った。
「私達は同じね」
「あっ、それぞれの人達とお友達で」
「だからね」
 それでというのだ。
「同じと思ったわ」
「そうなの」
「そう思うと嫌いじゃないわ」
「私をですか」
「貴女はね」
「私もです、颯姫さんから悪い印象は受けないです」
「機械みたいに思わないの」
「はい」
 その通りだと答えた。
「悪い人とはです」
「思わないのね」
「全く」
「そうなのね」
「そう思うと残念ですね」
「私達が敵同士なのは」
「はい、犬鬼も見てくれますし」
 その彼も見つつ話した。
「尚更です」
「そう言われるとね。けれど戦いになれば」
「その時はですね」
「お互い運命のまま戦いましょう」
 護刃に告げた。
「そうしましょう」
「それが私達のしなければいけないことですし」
「戦いましょう」
「その時は」 
 護刃は今度は決意した顔で応えた、見れば彼女の横にいる犬鬼もまた決意を込めた顔になっていてそのうえで横に座っている。
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