第三十話 多くの神々その四
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「そうちゃうか」
「そやろな、それであちらにやな」
「祀られてるんやろね」
神社に神としてだ。
「やっぱり」
「神社で祀られてるの見るとな」
「そやね、しかし」
ここでだ、また言った綾乃だった。
「古事記と日本書紀でまたちゃうのは」
「日本の神話と歴史の特徴やね」
「これが両論併記やね」
「そや」
リーが答えた。
「これもまた歴史の学び方や」
「両方の説を出すのも」
「史記でもあるで」
司馬遷が残したこのあまりにも有名な歴史書もというのだ。
「始皇帝についてな」
「あの人について」
「始皇帝の出征のことでな」
「ああ、あの人な」
中里はリーが話した始皇帝のそのことについて言った。
「お父さんについてな」
「秦の王様っていう説とな」
「呂不韋さんの説があるな」
「それが今も言われてるが」
「史記からやな」
「そや、ただな」
ここでリーは微妙な顔になって話した。
「一つ注意することがある」
「それは何や」
「史記を書いた司馬遷さんはどうも秦が嫌いや」
始皇帝の国自体がというのだ。
「それで秦についての記述はおおむねや」
「否定的か」
「ああ、他の秦の人にも否定的や」
「始皇帝さんだけやないか」
「そや、あの人の特徴と言ったらな」
「そうなるんやな」
「好きな人は項羽さんとか韓信さんで」
そうした人物でというのだ。
「それでや」
「秦の人は嫌いか」
「読んだところな」
「そうなんか」
「そやからそのことも考慮に入れて」
「その話もやな」
「読まんとあかん、司馬遷さんも出来るだけ公平に書こうとしてるが」
それ故に彼が好きと思われる人物についても批判すべきところは批判している、それが故に史記は優れた歴史書であるのだ。
「そやけどな」
「個人的な好みはか」
「どうしても出てな」
そうなっていてというのだ。
「それでや」
「秦の人についてはか」
「そうで特にな」
「始皇帝さんにはか」
「否定的や」
そうだというのだ。
「これがな」
「司馬遷さんにも好みあるんやな」
「それは完全に払底出来んかったかもな」
「それで秦は嫌いで」
「史記にも出てるわ」
書いたその中にというのだ。
「どうもな」
「そういえば始皇帝さん実はや」
中国人の羅が言ってきた。
「法の施行も柔軟やったそうやな」
「史記やったら滅茶苦茶過酷やって書いてたな」
やはり中国人の施が応えた。
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