第八十九話 夏休みの宿題その十
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「そうよ、学校の先生でも話を聞いていい人がいて」
「駄目な人もいる」
「先生だから誰でもじゃないですね」
「話を聞いていい訳じゃないですね」
「話を聞いたらいけない先生もいる」
「そうですね」
「実際堀内が学校の先生なら話聞く?」
五人に真顔で問うた。
「あんた達は」
「絶対に聞かないですね」
「同じ学校にいたら顔背けます」
「挨拶もしたくないです」
「今のお話聞いて思いました」
「暴力も振るいますし」
「ちなみに暴力は相手が自分より弱いから振るうのよ」
時分より立場が弱かったり腕力が劣るからだ。
「堀内も長嶋さん殴らなかったわ」
「まあ殴れないですね」
「監督さんですし」
「物凄い人気ですし」
「あの人は無理ですね」
「殴るなんてとてもですよ」
「だからね」
長嶋茂雄がそうした人だったからだというのだ。
「出来なくて陰口位しかね」
「言えなかったんですか」
「まあそうですよね」
「陰口位しか言えないですね」
「相手が監督さんだと」
「しかも長嶋さんだと」
「監督の言う通りにするなとか」
そうしたというのだ。
「言ってたらしいわ」
「それもあれですけれどね」
「器小さいですね」
「殴れないから陰口って」
「まあよくあるお話ですけれど」
「小さいですね」
「文章も凄く偉そうだけれど」
一人称は『俺』であり実にぞんざいな文体である、それこそ過去の実績とそれに基づく野球理論と知識があると思い込んでいることがわかるものだ。
「けれどね」
「実はなんですね」
「本当は小さい奴なんですね」
「自分より弱い相手しか殴れないで」
「人に強制させて自分はしない」
「しかも大物ぶっている様な」
「こんなのと一緒にいたらね」
交際なり結婚なりしてというのだ。
「後悔するわよ」
「そうですよね」
「いや、堀内ってしょうもない奴ですね」
「道理で人気ない筈ですね」
「というか嫌われる筈ですね」
「そんなチンケな奴だと」
「そう、堀内は小物よ」
店長は言い切った。
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