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ドリトル先生と桜島
第十一幕その九

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「龍馬さん薩長同盟成立させたし」
「勝さんにとっても盟友だったし」
「どっちもないんじゃないかな」 
 首を傾げさせてです、チーチーは言いました。
「流石に」
「けれど直新陰流は薩摩藩のお家芸だし」
 それでとです、ポリネシアは言いました。
「勝さんもなだ」
「どちらかが龍馬さん暗殺の黒幕かしら」
 ダブダブも信じられないといった表情です。
「そうなのかしら」
「流石に違うと思うよ」 
 ガブガブも信じようとしません。
「薩摩藩も勝さんも」
「ううん、信じられないよ」
「龍馬さん暗殺がどちらかって」
 オシツオサレツ二つの頭を捻っています。
「勝さんもまさかだし」
「当時薩摩藩って言うと西郷さん大久保さんだけれど」
「それがね、西郷さんも勝さんも器が大きい人でね」 
 先生は何とです。
 否定していないお顔です、そのうえで皆にお話しました。
「よくも悪くも清濁併せ呑む人だったんだ」
「よくも悪くもって」
「この場合怖い答えが出るけれど」
「暗殺もしていたって」
「西郷さんも勝さんも」
「お二人共狙われていたんだよ」
 西郷さんも勝さんもというのです。
「狙われるならね」
「狙う」
「逆もあるんだ」
「その場合も」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「お二人もだよ、ただ勝さんに龍馬さんを殺す理由はね」
「ないよね」
「龍馬さん幕府にも好意的だったのに」
「平和な方法での維新考えていたから」
「討幕派は討幕派でも」
「戦争を好む人かっていうとね」
 龍馬さんはというのです。
「違うからね」
「それよりも貿易をしてね」
「それで思いきり国力を蓄えて」
「日本を豊かにして強くする」
「そう考えていた人で」
「戦争で無駄に時間と命と国力を使うよりもね」
 それよりもというのです。
「穏健な方法を考えていたよ」
「そうだったね」
「あの人は」
「だからね」
「幕府にも好意的だし」
「じゃあね」
「勝さんに暗殺する理由はないね」
 皆で言いました。
「そもそも勝さんって暗殺する人?」
「それを命じる人?」
「違うよね」
「それは」
「僕もそう思うよ」
 先生もというのです。
「勝海舟さんはそんな人じゃないよ」
「イメージ違うよね」
「どう考えても」
「自分から人を殺す人でもないし」
「黒幕になる人でもないね」
「お調子者なところもあるけれど」
 勝海舟さんはというのです。
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