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第二十九話 家族その九

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「よくね」
「命について」
「そう、何故生きているのか」
 このことをというのだ。
「よくね」
「考えるの」
「そして人は生きる為に他の命を奪うわね」
「ええ」
 その通りだとだ、颯姫も答えた。
「罪あることよね」
「そうよ、人は罪を犯すわ」
 まさにという口調でだった、庚は話した。
「必ずね」
「生きていれば」
「そうするわ」
「そうね。そのこともね」
「考えることね」
「それもまた大事なことだから」
「私にとって」
「貴女はとても優秀な人よ」
 微笑み資質のことも話した。
「けれどね」
「それでもなの」
「完成されるということはないから」
「だからなの」
「今以上にね」
「憂愁に慣れるのね、私は」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「いいわね」
「よりよく考える」
「そうしていってね」
 こう言うのだった。
「命のことそして」
「人が生きる為に命を奪うことを」
「そうしたことを考えていくとね」
「いいのね」
「そうよ、そのうえで戦っていってね」
「わかったわ、それじゃあビーストとも」
 彼ともと言うのだった。
「お話していくわ」
「宜しくね」
「ええ」
 庚の言葉に頷きそのうえで実際に彼と一緒にいる時はしきりに話し掛ける様になった、これまで以上にそうした。
 すると実際にだった。
「これまで以上にだね」
「ええ、ビーストの稼働や思考が速くなって」
 牙暁に夢の中で話した。
「そしてね」
「何か親しさも」
「感じる様になったんだね」
「ビーストに。今ではね」
 夢の中で座りつつ自分の前に立つ牙暁に話した。
「本当にお友達にね」
「思えてきたんだね」
「ええ、ビーストも友達よ」
 完全にというのだ。
「私にとってね」
「僕達と同じく」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「ビーストといると」
 そうすればというのだ。
「貴方達と同じ感じがするわ」
「地の龍のだね」
「ただ同じ地の龍でも」
 それでもというのだった。
「遊人さんとは」
「一緒にいてもだね」
「また違った気持ちになるわ」
「彼とはだね」
「どうしてかわからないけれど」
 それでもというのだ。
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