第八十四部第四章 続く会談その十二
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「今は」
「左様ですか」
「それではですね」
「今は、ですね」
「内密に、ですね」
「その様にして頂きます」
こう言うのだった。
「それで宜しいでしょうか」
「まずは知ることである」
タイの大使がこの言葉を出した。
「あらゆることにおいて」
「外交においても」
「はい、ですから」
「それで、ですね」
「だからこそです」
まさにというのだ。
「大使も」
「やがてということで」
「そういうことですね」
「そうです」
アルギエーリはやはり答えない、言葉では。
それでだ、こうも言うのだった。
「こうご期待ということで」
「では」
「そうしましょう」
「待っています、それと」
「それと、とは」
「実にいい平目でした」
ここでだ、こうも言ったのだった。
「堪能させて頂きました」
「鰻も。ただ」
「ただといいますと」
「鰻を食べるとその舌がよく動く様になる」
タイ大使は笑ってこの言葉を出した。
「そう言われていますね」
「かつてそうしたことがあったとか」
「フランスかどの国か忘れましたが」
バロックかロココの頃だったと言われている。
「寺院で食べて」
「そうしてですか」
「誰もがついつい舌がよく動く様になって」
そうしてというのだ。
「隠しごとを喋ってしまった」
「そうしたことがあったのですか」
「鰻のせいで」
「ははは、ではです」
それならとだ、アルギエーリは笑顔で述べた。
「パーティーではです」
「出すべきではない」
「いえ、出せば」
それでというのだ。
「それで、です」
「色々お話が聞ける」
「そうした意味もあるから」
「そうですか」
「ですから」
それでというのだ。
「鰻もです」
「出していい」
「そうした見方も出来るかと」
「そういうことですか」
「意地悪く言えば」
「成程、ではです」
ここでだ、アルギエーリはこう言った。
「これからもです」
「鰻をですか」
「考えさせて頂きます」
「そういうことですか」
「そうも」
あえて真意は言わずに言うのだった、だが。
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