第七百十話 多彩な生きもの達その十二
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「これがな」
「そうなのですか」
「人間から見れば派手だが」
そうであるがというのだ。
「他の哺乳類から見ればどうか」
「あっ、人や猿以外はでしたね」
大尉の今の話にだ、上等兵も応えた。
「哺乳類は色がわからないですね」
「色彩感覚がない」
「目に見えるものは白黒ですね」
「だから虎もだ」
この生きものもというのだ。
「やはりな」
「人間や猿以外から見るとですね」
「白黒の模様でな」
黒と黄色ではなくというのだ。
「森の中だとな」
「識別しにくいですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「だからな」
「虎もああした色模様でよく」
「バク達もな」
「目立たないのですね」
「色がわかる生きものは哺乳類では僅かだ」
「そうでしたね」
「そのことも知ることだ」
「シマウマも然りですね」
上等兵はその生きもの達も見た、そこにはオカピもいればクァッガもいてシマウマ達と共に過ごしている。
「そうですね」
「その通りだ、あの色でもな」
「保護色になりますね」
「サバンナの中でもな」
「ライオンやチーターから見れば」
「傍目ではサバンナの何処にいるかな」
「わかりにくいですね」
こう大尉に話した。
「識別するその間に」
「逃げるのだ」
「そうしますね」
「一瞬かも知れない」
識別にかかる時間はだ。
「だがその一瞬がな」
「生死を分けますね」
「そうなるのが自然だ」
「生きるか死ぬかの」
「その世界だ、だからな」
「その一瞬の為にですね」
「保護色はあるのだ」
「そういうことですね」
「哺乳類を狩るのはえてして哺乳類だ」
自分達と同じというのだ。
「それでだ」
「その哺乳類に対する為に」
「保護色がありな」
それでというのだ。
「相手が白黒でしか見られない」
「それを衝いていますね」
「そういうことだ」
「成程、そうですか」
「だから連合軍は迷彩服もな」
「よく着ますね」
「そうしているが」
これはというのだ。
「猛獣対策としてもな」
「着ていますか」
「エウロパ軍には迷彩服はあっても」
それでもというのだ。
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