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神々の塔
第二十九話 星の女神その十

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「そうしたことはやねん」
「わかってる人やったな」
「そやったから」
 だからだというのだ。
「人柱を否定して」
「代わりに字を刻んでやな」
「お城に入れてん」
「そうしたな」
「それで信長さんもやで」
「そうしたもんを集めて」
 墓石や地蔵象をというのだ。
「そのうえでやな」
「結界にしてん」
「そやったな」
「あの人どうも無神論やなくて」
「あの人なりの信仰があったな」
「それでやねん」
 その為にというのだ。
「安土城も築いてん」
「神仏を敬わんって聞いたけど」
「迷信は信じへんかったで」
 このことは事実だという、ただし戦の前の儀式で勝栗等を食べるゲン担ぎは彼も行っていたりする。
「けどやねん」
「ちゃんと信じてたんやな」
「それで墓石とかお地蔵さんをやねん」
「結界に用いてたか」
「それで安土城の天主閣には多くの様々な宗教の絵も描かせたし」
 そこにはキリスト教もあった。
「襖とかにも」
「あの人天主閣に住んでたな」
「その神様仏様の世界に」
「そやったか」
「何か自分もそこにおって」
「神様と一体化か」
「神様になろうとしてたって説もあるで」
 そうも言われている、実際に。
「これが」
「日本のやな」
「そやで、あの人神主のお家やったし」
 その出自は越前起きた世界の現代で言う福井県のその家であったという。尚その祖は平家であるとされている。
「神様っていうたら」
「日本の神様やな」
「そやで」
 そうなるというのだ。
「間違いなく」
「やっぱりそうか」
「そしてな」 
「あとお寺も焼いてへんらしいで」
「そうらしいな」
 リーが応えた。
「延暦寺とかの話があるけどな」
「実際はやで」
「焼いてへんらしいな」
「確かに揉めたし本願寺とも戦ったけど」
「寺は焼いてへんでな」
「無道なこともしてへんで」
「あの人はな、人を殺すにしても最低限で」
 よく血を厭わなかったというが実際は違っていたと最近の学説で出ているのだ、これは処刑の仕方にも出ている。
「悪人には容赦せんでも」
「不要な血は好まんかったし」
「特に残酷でもなかったな」
「むしろ頼朝さんと比べたら」
 鎌倉時代を開いたこの人物と、というのだ。
「ほんまずっと」
「穏健やな」
「優しいで」
「頼朝さんは評判悪いな」
 リーも述べた。
「日本では」
「世界では結構普通のレベルみたいやけど」
「敵は皆殺しや」
「子供でも容赦なく」
「源氏自体がな」
 家そのものがとだ、リーはテキーラを眉を曇らせて話した。飲んでいるのは炭酸入りだ。尚綾乃はストレートである。
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