第八十九話 夏休みの宿題その五
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「もうね」
「そうしたことが出来るってことで」
「妊娠することもね」
「あるんですね」
「実際十二歳かそこらで子供作った人いるでしょ」
店長は一華にこのことも話した。
「そうでしょ」
「前田利家さんの奥さんとか」
「おまつさんね」
店長はその名前を言った。
「あの人それ位で結婚して」
「すぐにですね」
「最初の子供産んでるから」
「だから小学生でもですか」
「出来るから」
実際にというのだ。
「もうね」
「そうした知識はですか」
「ちゃんとね」
「覚えておくべきですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「さもないといざという時にね」
「困るんですね」
「だから高校生にもなれば」
小学生で知っておくべきことならというのだ、店長はあくまで真面目に話しているのが一華達にもわかった。
「もうね」
「ゴムの付け方はですか」
「知っておいてね」
「出来る様になることですか」
「早いとか恥ずかしいなんてね」
そうしたことを知ることはというのだ。
「言うことじゃないのよ」
「知っておくことですか」
「そうよ、いざという時は来るから」
「自分には来ないと思っていても」
「時と場合によってね」
それ次第によってというのだ。
「来るから」
「だからですか」
「もうね」
それこそというのだ。
「ちゃんとね」
「知っておくことですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そうなんですね」
「そう、だからあんた達もよ」
「知っておくことですね」
「そうよ」
店長はさらに話した。
「だから今からでもね」
「ちゃんと勉強しないと駄目ね」
「今まで何もなくてもね」
そうしたことがというのだ。
「これからはね」
「わからないですね」
「あるかも知れないことは大変なことだったら」
「あると思って」
「そう考えてね」
そのうえでというのだ。
「勉強してね」
「ううん、そうしたものですか」
「そうよ、親に言われる前にでもね」
「自分で勉強しないと駄目なことですね」
「自分の身を守るのは誰か」
店長は強い顔と声で話した。
「それはね」
「自分自身ですね」
「そうでしょ」
「はい、それは」
「だからね」
その顔と声のまま話すのだった。
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