暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第164話:いざ、内なる世界へ
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後の方にこんな事が書かれていた。

 曰く、『近い内に日本に行き透とクリスに会いに行く』と言うもの。その一文を目にした時、透は鉛でも飲み込んだような気分になった。
 あの2人は透とクリス、2人との再会を望んでいる。だが現状、透はクリスと顔を合わせる勇気がなかった。仮にクリスにこの事を伝えても、彼女の方が透と共に行動する事を拒否するか共に向かっても空気が悪くなる可能性があった。

 どうするべきか……悩む透に、何時の間に居たのか背後からセレナが話し掛けた。

「透君……」
「!」
「ゴメンね、後ろから手紙の内容少し見ちゃった。悩んでるんでしょ? クリスちゃんの事で」

 セレナの指摘に、透は俯きながら頷いた。それを見て、セレナは小さく溜め息を吐くと彼の頭を撫でながら口を開いた。

「悩みは、1人で抱えても何も解決しないよ。その2人……少なくともソーニャさんは、透君達の事を良く知ってるんでしょ? なら、思い切って相談するのも一つの道だと思うな」

 セレナの言う通り、今この世界で透とクリスの事を航以外で良く知る人物は、過去に2人と共に過ごしたソーニャ以外に居ないだろう。彼女ならば、或いは別の角度から透とクリスの抱えている問題にくさびを打ち込んでくれるかもしれない。
 透もセレナの言わんとしている事に気付いたのか、暫し逡巡する仕草を見せるも頷いて見せた。そして、手紙に返事を書くべくその場を後にする。

 そんな2人の様子を少し離れた所からガルドと朔也の2人が見ていた。

「やるねぇ……あの透を動かしたよ」
「セレナの優しさが、トオルに届いたんだろう」
「いい相手見つけたじゃん?」
「人の事言う前にお前も相手の1人は見つけてみせろ」
「うるせ」

 軽口を叩き合いながら、ガルドはふと今セレナの姉であるマリアに想いを馳せる。

 改良型LiNKERの完成の為、危険に身を投じている彼女。自分にとっても将来の義姉となる女性が、今どうしているのか…………




***




 エルフナインの研究室には、現在奏とマリア、そしてエルフナインの3人がコードに繋がれたヘッドギアを付けて専用のシートに腰掛けていた。
 ヘッドギアから伸びたコードはシートに繋がり、それを操作する為のコンソールをあおいが操作している。

「始めましょうか」
「うし」
「えぇ。あなたが私達のここに入ってくる訳ね?」

 マリアが装着したヘッドギアに軽く触れながら確認の為に問う。他人の意識が自分の中に入って来ると思うと、やはり複雑な気分を感じないではない。

「正しくは仮想空間に複写した、マリアさんと奏さんの脳構造に接続。僕とお2人の意識を共有します」
「……それって、アタシとマリアの意識がごちゃ混ぜになったり
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