暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第164話:いざ、内なる世界へ
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 釣りとは訳が違うが、今颯人に出来る事は歯痒さに耐えて待つ事のみであった。




 一方、残り2人の魔法使いが何をしているかと言うと…………

「――――ガルド君、こっち終わったよ」
「よし、それじゃ鍋に入れて火にかけておいてくれ」
「うん!」
「?」
「ん? あぁ、よしよし。それじゃ透は――」

 ガルドはセレナと共に本部の食堂で食事の仕込みを行い、透はそれを手伝っていた。

 ここ最近、透は暇な時はこうして厨房でガルドの手伝いに明け暮れている。ここならばクリスと必要以上に顔を合わせずに済むからだ。

 依然として冷え切った透とクリスの関係。未だ修復の兆しすら見せない2人の様子に、ガルドは小鍋の中のソースをかき混ぜながら思わずため息をついた。

「はぁ……」
「ガルド君?」
「ん? あぁ、トオルとクリスの事で、な」

 調理中に溜め息などらしくない様子の彼をセレナが心配すれば、彼は野菜を切っている透を一瞥しながら言葉少なに答えた。それだけでセレナも彼の懸念を察する事ができた。

 今のS.O.N.G.で、あの2人の事を心配していない者など居ない。普段はぴったりと寄り添い合っていた2人が顔も合わせないのだ。見ている方も正直辛かった。絶えず仲睦まじくしている2人の様子に癒されていた職員も居たのだ。

 しかしガルドにはどうする事も出来ない。所詮彼は外野であり、また透にせよクリスにせよ、彼が知るのは上辺の部分でしかないのだから。

――もっと2人の内面に踏み込めるような立場の奴なら、或いは……――

 考えても仕方のない事を考えつつ、コンロの火を消して小鍋に蓋をする。そしてお玉をシンクに持っていき洗おうとしたその時、食堂の方から朔也が声を掛けてきた。

「なぁ、ガルド。今透君居るか?」
「トオル? ならそこに……」

 2人の会話が聞こえたのか、透が厨房の奥から顔を覗かせた。彼の顔を見るなり朔也は手にした手紙を彼に見せた。

「これ、君宛にだ」

 朔也が見せてきた手紙を、透は首を傾げながら手を拭き受け取った。果て一体誰が手紙など出したのか? 父である航が態々手紙など出す訳が無いし、手紙のやり取りをするような知人など心当たりがなかった。

 だが手紙を受け取りその差出人を見て、彼は合点が入った。そう言えば1人……いや2人ばかり居た。手紙のやり取り位はするだろう間柄の姉弟が。

 その手紙の差出人は、ソーニャとステファンの姉妹だったのだ。

 透は厨房から出て手紙を開け中を見ると、そこには簡単な挨拶と近況が書かれていた。向こうは未だ復興などで大変らしいが、上手くやれているようだ。
 知り合いの無事と元気を知らせる頼りに透が久し振りに安堵で顔を綻ばせていると、最
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