友人のジレンマ
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サの母は、アキヒサの必死の訴えを聞き入れようとはしなかった。結局、アキヒサは母親に逆らうことができず、段ボール箱を持って家を出ていき、悩んだ末に家の近くの裏山へ持っていった。既に空は夕暮れから夜空へ変わろうとしていた。
「母さん…」
アキヒサは段ボール箱を抱えながら呟く。すると、
「キミも、お母さんと喧嘩したの?」
少年のような声が聞こえ、アキヒサが振り返ると、二つの光の柱が出現し、光が治まると小柄な宇宙人が2人、そこにはいた。
「宇宙人!?」
アキヒサは驚く。
「驚かせてごめんなさい。俺達はコール星人。俺はゼラニー、こっちは妹のバギク。」
「はじめまして、お兄ちゃん。」
コール星人の2人は自己紹介をする。
「俺はアキヒサ。2人はどうして地球に来たの?」
アキヒサは2人の言動から敵意はないと判断し、自己紹介してから質問する。
「俺達、勉強ができなくて、お母さんと喧嘩して、家出しているところ。」
ゼラニーは辿々しく答える。
「お母さんと喧嘩か…喧嘩一つできない俺より、2人のほうがすごいな。俺なんて、自分の大切なものをゴミだって言われたのに、言い返すこともできなくて、本当は嫌なのに、捨てないといけないんだ。」
アキヒサは泣きながら言う。
「思い出の詰まった大切な宝物をゴミなんて言われたら、嫌だよね。」
バギクはもじもじした仕草をしながら言う。
「2人は、家出したくなるくらいお母さんに怒られたの?」
「俺達コール星人はみんなが勉強熱心で、コール星自体が他の星の歴史をまとめて研究することを大切にしている星なんだけど、俺達は勉強が苦手で、お母さんに怒られて、困らせてやりたくて家出したんだ。」
「もし見つかったら、余計に怒られない?」
「見つかっても見つからなくても同じことだよ。どっちみち怒られるなら、冒険して怒られる方がいいじゃん。」
「その気持ちはわかるかも。」
アキヒサとコール星人達は徐々に打ち解けていった。
「その箱の中には、何が入っているの?」
ゼラニーは質問する。
「見る?」
アキヒサは段ボール箱を開ける。中にはアキヒサが幼少期の頃から取っていた思い出の品が入っていた。ゼラニーはその中で短い棒の付いた網に興味を示す。
「これは?」
ゼラニーは質問する。
「これはね、こうやって伸ばすとね。」
アキヒサは網に付いた棒を引っ張り、伸ばす。
「お兄ちゃん、これって虫網だよね。図鑑で見たことがあるよ!」
携帯用の虫網を見て、バギクははしゃぐ。
「そっか、地球では虫を捕まえてペットにする文化があるんだよね。」
ゼラニーも頷く。
「コール星には虫っていないの?」
2人の話を聞いて、アキヒサは質問する。
「何百年か前には地球
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