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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十三話 寸を進めずして尺を退く
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いた。パシアスはルサルカの影の能力を使い、地に伏していた彼の肉体を喰らったのだ。そうして得るのは最新の情報。戦いの主観がありそして戦っていたときに傍観していた第三者としての記憶も存在する。それだけあれば後はその薄氷の差を埋めれば良い。
「貴方が私に勝とうと思うなら私やアウグストゥスに見せていない戦い方を見せないとね」
嗤いながらそう言ってみせるパシアス。だがパシアスは理解してるのだろう。蓮が今の状況でさらに加速度的な成長見せるには今の状態では無理であると。そしてさらに言えばもうパシアスにはこれ以上戦いを引き延ばすメリットなど皆無であった。何故なら……
「そうそう、言い忘れてたけど貴方が助け出そうとしたお姫様はもうここには居ないわよ」
お姫様、言うまでもなく氷室玲愛のことだろう。彼女は既にこの教会に居ないとそう言った。
「な、に……」
最後の一手、逆転を狙うならば玲愛を救うしか思い浮かばないこの状況でその発言は蓮には致命的なものであった。
「だからねー私、というより現状残ってる分体への命令はゾーネンキントの守護なの。だからアウグストゥスは此処を死守したし私は時間を稼いだ。でも守るだけじゃ戦況は変わらないじゃない?というわけでカリグラが此処に来て裏から彼女を回収したってわけ。もうとっくにタワーか学校に向かってるんじゃ無いかな?」
「くそ、始めから弄ばれてたって訳かよ」
「そうとも言い切れないわよ。少なくとも私的には斃せると思ってたのに斃せなかったし、思ったより消耗して無いもの。でもまあ構わないわ。貴方の相手はまた今度、これ以上私が付き合う義理も無いし今回はこれで終わりにしましょう。バイバイ」
「ッ!待てッ!!」
当然待つことなどせずパシアスはその場から消え去る。静止の言葉はただ虚しく教会に響き渡っただけだった。
******
―――諏訪原タワー―――
少し時間を遡ってタワーでは未だに激戦が続いていた。轟く爆発音。放たれ続ける銃声。それらが弾かれ甲高く鳴り響く金属音。いまだ深い夜の最中でヴィルヘルムと司狼、ティトゥスの三人は戦っていた。とは言ううものの戦況は火を見るより明らかなものとなっていた。
「オラオラァ、さっきまでの威勢の良さは如何したァ?ちったぁ俺を楽しませろやァッ!」
「チッ、しゃらくせえッ!」
「グッ……ホントにしつこいな。君、絶対本命には嫌われるタイプでしょ」
余裕を見せるように反撃する司狼や口で反撃するティトゥス。だが、実際にはそこまで余裕があるとはいえない。特にティトゥスなどは体を動かすことすら億劫なほどでせめてもの抵抗に口撃しているのだ。一方でベイは杭こそ全身から出したものの創造すら使っていない現状である。
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