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ドリトル先生と桜島
第十一幕その四

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「薩摩藩は剣術も凄かったんだね」
「そうだよ、この剣術にね」
 それにと言う先生でした。
「後で観させてもらう直新陰流もあってだよ」
「凄く強かったんだ」
「薩摩藩の人達は」
「幕末でも」
「戦国の趣がそのままね」
 まさにというのです。
「残っていてね」
「それでだね」
「こうした流派も存在していて」
「ずっと鍛えていたんだ」
「自分達を」
「それで幕末でもだよ」
 この頃もというのです。
「桁外れの強さだったんだ」
「戦国の考えそのままで」
「自分達を鍛えていたから」
「この流派で」
「それで直新陰流で」
「そうなんだ、しかしね」
 先生も稽古を見て戦慄している顔で言いました。
「百聞は一見に如かずと言うけれど」
「剣道でもそうだね」
「聞くのと見るのでは全然違うわね」
「本当にね」
「違うわね」
「うん、こんな壮絶な流派だとはね」
 先生は皆に言いました。
「思わなかったよ」
「全くだね」
「鬼みたいな凄まじさよ」
「この流派が免許皆伝になったら」
「最強だよ」
「ちなみに明治の元老で総理大臣にもなった松方正義さんはね」
 この人はといいますと。
「この流派の免許皆伝、弓術もそうで馬術にも秀でていたんだ」
「えっ、そうなんだ」
「幕末維新では地味な人だかれど」
「維新だと伊藤さんや山縣さんと比べると」
「薩摩だと西郷さんや大久保さんと比べても」
「黒田さんや東郷さん、黒木さんや大山さんと比べても」
「けれど実はね」
 地味というイメージが強い人でもというのです。
「武芸の達人で」
「この示現流もなんだ」
「免許皆伝だったんだ」
「それで弓術も馬術もって」
「滅茶苦茶強いね」
「幕末維新は武芸に秀でた人多いんだ」
 先生は皆にこのこともお話しました。
「山縣さんは槍術免許皆伝でね」
「福沢諭吉さんは居合の達人で」
「坂本龍馬さんは北辰一刀流免許皆伝」
「新選組の人達は言うまでもなし」
「西園寺公望さんも剣術の達人だったね」
「その中でも松方さんはね」
 この人はというのです。
「特にだったんだ」
「強かったんだね」
「じゃあ絶対に戦うべきじゃないね」
「そんな人だったのね」
「そうだよ、人柄も穏やかだったけれど」 
 そうした人だったけれど、というのです。
「実は鍛え抜かれた」
「武芸者だったんだ」
「幕末維新では地味な人でも」
「総理大臣にもなってるけれど」
「けれどお仕事特に財政関係は的確でね」
 松方さんという人はというのです。
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