第十一幕その三
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「本当にね」
「それは何よりや、わしもや」
「そうでありたいんだね」
「まあ将棋馬鹿って言うな」
「貴方の場合はかな」
「それでええわ、わしはただの将棋好きや」
こう言うのでした。
「そやからな」
「あくまでだね」
「将棋を打てたらな」
それでというのです。
「ええわ」
「そうなんだね」
「ずっとね」
「何かです」
クッキーはラーメンを前にして言いました、その手にはお箸があります。
「坂田さんは道を歩いておられますね」
「将棋の道をかいな」
「そう思いましたが」
「そう言ってくれてもや」
坂田さんはクッキーにも笑って言いました。
「ええで」
「そうですか」
「わしは他のことは知らんからな」
「将棋以外のことは」
「そや」
まさにというのです。
「ほんま他に何もしたことないな」
「将棋馬鹿ですか」
「そうやさかいな」
「将棋の道を歩いているとですか」
「言われると嬉しいわ」
こう言うのでした。
「ほんまにな」
「そうなんですね」
「そやからお花見の場でもな」
「将棋をですね」
「誰かと打つわ、桜の花びらが舞う中でや」
坂田さんは笑って言いました。
「将棋をや」
「打たれるんですね」
「そうするわ、楽しみやわ」
こうも言うのでした。
「ほんま、それとな」
「それと?」
「実はノムさんも来てな」
そしてというのです。
「寛美さんもや」
「そうした人達もですか」
「来るで、二人共大阪に縁があるさかいな」
「寛美さんっていいますと」
ナターシャが言いました。
「藤山寛美さんですか」
「そや、面長で目が丸くて頬が少しふっくらしたな」
その人のお顔立ちのお話もします。
「その人もや」
「オズの国におられて」
「それでな」
「お花見にですか」
「招かれてるで、それでな」
坂田さんはさらにお話しました。
「今日の午後はその寛美さんの新喜劇もあるさかい」
「それで、ですか」
「そっちを観たらええわ」
「藤山寛美か」
リンキティンク王はその人の名前を憶える様にして言いました。
「その人の舞台がか」
「今日の午後やるさかいな」
「観に行けばいいのじゃな」
「そや、興味があったらな」
「ではそうするぞ」
「そうしたらええわ、あとノムさんっていうのはな」
「どんな人じゃ」
坂田さんに尋ねました。
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