第十一幕その二
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「外の世界ではとても想像出来ないよ」
「思わぬところで思わぬ人に会える」
恵梨香はしみじみとした口調で言いました。
「そうした国なのがあらためてわかったわ」
「そやろ、オズの国はや」
坂田さんは五人にもお話しました。
「そうした国や、そやからわしもな」
「この国におられるんですね」
「外の世界から来られて」
「それで、ですね」
「こうしてですね」
「このお店で召し上がられて」
「楽しまれてますね」
「そや、この街は美味いもんばかりでな」
それでというのです。
「食べ歩きも出来るわ」
「この街は美味しいお店ばかりでね」
魔法使いは言いました。
「このお店もそうだけれど」
「近くに肉で美味いお店もあるわ」
「そうなんだね」
「ステーキとか肉寿司とか出てな」
そうしてというのです。
「食べ放題飲み放題でな」
「美味しいんだね」
「それと柚子を利かせたお料理の居酒屋もや」
「あるんだね」
「そっちもええ」
美味しいというのです。
「ほんま何かとや」
「美味しいお店が多いんだね」
「この街には美味い店しかないわ」
坂田さんは笑ってこうも言いました。
「そやからわしは将棋とや」
「お食事をだね」
「楽しんでるわ」
餃子を食べている魔法使いにお話しました。
「毎日な」
「それは何よりだね」
「それでさっきあんた等お花見の話してたけどな」
坂田さんはこちらのお話もしました。
「わしも招待されてるわ」
「そうなんだ」
「そやからな」
それでというのです。
「そっちもや」
「楽しむんだね」
「そうするわ」
こうお話するのでした。
「ほんまにな」
「じゃあお花見をしつつ将棋を打つのかな」
「それや」
坂田さんはまさにとです、魔法使いに答えました。
「誰か相手がおったらな」
「その人とだね」
「将棋を打つで」
「ううん、本当に将棋が好きなんだね」
カエルマンはその大きなお口の中に豚まんを入れてです、噛んで食べて楽しみながら言うのでした。
「坂田さんは」
「毎日朝から晩まで将棋盤と向かい合ってるわ」
「そこまでなんだね」
「それで外の世界ではや」
そちらにいた頃はというのです。
「将棋の文字以外の文字をや」
「まさかと思うけれどね」
「忘れてもうてたわ」
「それは凄いね」
カエルマンもびっくりでした。
「そこまでだなんて」
「そんなに凄いか」
「凄いよ、貴方は本物だよ」
「本物の棋士かいな」
「本気でそう思ったよ」
そうだったというのです。
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