暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十四部第四章 続く会談その七

[8]前話 [2]次話
「楽しまれて下さい」
「これまで以上にですね」
「そうして頂けるとです」
 アルギエーリは笑いつつ話した。
「何よりですから」
「それで、ですね」
「召し上がって下さい」
「そうさせて頂きます」
「そして」
 アルギエーリはさらに言った。
「実はオマール海老と共にいいお料理がありまして」
「といいますと」
「こちらです」
 こう言うとだ、パーティーの場所に。
 見事なヒラメのムニエルが幾つも運ばれてきた、アルギエーリはそれを指し示しつつこう言うのだった。
「如何でしょうか」
「ヒラメですか」
「舌平目のムニエルです」
 それだというのだ。
「お召し上がり下さい」
「どれも見事なムニエルですね」
「これを召し上がられて」
 そしてというのだ。
「楽しまれて下さい」
「はい、ただ」
 中央政府の者はここでこう言った。
「ヒラメは落とさないですね」
「お皿からですね」
「それはされないですね」
「タレーランの平目ですね」
 ナポレオンの下で外交を担当した者だ、能力は高いが策謀家でありナポレオンさえ欺いた男として歴史に名を残している。
「それは」
「はい、そうですが」
「連合ですので」 
 アルギエーリは笑って答えた。
「それはです」
「されないですか」
「勿体ないかと」
「多くの平目が入ってもですね」
「最初にわざと落としてです」
 そしてというのだ。
「客人を落胆させてです」
「その後でもう一皿出す」
「それは演出としての効果はあります」
 タレーランもそれを狙ったのだ、知恵と贅沢そして演出知る彼ならではのことだ。
「確かに、ですが」
「食べるものは粗末にしない」
「それが連合ですから」
 だからだというのだ。
「私はそれはです」
「決してですか」
「しません、全ての平目をです」
 手に入れた全てをというのだ。
「使わせてもらいました」
「そうですか」
「はい、ですから」
 それ故にというのだ。
「お楽しみ下さい」
「それでは」
「私にはあれは出来ません」
「タレーランがしたことは」
「その演出の効果はわかっていても」
 それでもというのだ。
「勿体ないと思い」
「それで、ですね」
「出来ません」
 こう言うのだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ